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なぜ私たちはドラマ「おっさんずラブ」に心酔したのか

2018年11月30日

30~40代女性が今年最高にキュンしたドラマを改めて解剖

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 雨のそぼ降る夜の渋谷を歩き、某老舗レコード店の最上階を目指して登っていくと、おそらく目的を同じくすると思われるアラフォー女性たちがどんどん増えていきました。18時半、会社帰りというには少し早めの時間であることもあって、行列するほどでもないちょうどいい空き具合。

 ちょうど私がスタッフにチケットを見せようという時、若い男女の外国人観光客グループがスタッフと話していました。一番後ろにいたイケメンに「並んでます?」と聞くと「たまたま来たから見てみようかって。でも僕らチケットがないんだよね。これ何の美術展なの?」「美術展……というか、一種のすごくマニアックだけどポップなゲイカルチャーイベントというかですね……(説明が難しいな)」「そうなの!?(私の姿をまじまじと見る)」「ええまあ、一種の……(モゴモゴ)」。

 そんなモゴモゴをしているうちに、残念ながら当日券は売り切れですと告げられたのか、グループは去っていきました。私の「ああ、私の説明下手のせいで、きっと国際的に大きな誤解を生んでしまった……」というかすかな罪悪感を残して。

 でもどう説明すればよかったのでしょう、これが日本の女性の間で大人気を博したテレビドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)の、はるたんや牧、部長たちおっさん同士の愛の軌跡を追った「おっさんずラブ展~君に会えてよかった。~」だなんて。

女性たちは「おっさん」たちの「ラブ」のどこに共感したのか

 「おっさんずラブ」は、2016年末の単発ドラマ版を基に、2018年4月期にテレビ朝日系列で放映された土曜深夜枠の連続ドラマ。「ある日、僕は部長に告白された。」という意味深なキャッチフレーズに「主演・田中圭×ヒロイン・吉田鋼太郎×ライバル・林遣都」と驚きのキャスティングで、「笑って泣ける、おっさん同士の究極のピュアラブストーリー」が全7回にわたり視聴者をとりこにしました。

「おっさんずラブ」は、爽やかな青空が似合うドラマでした (C)PIXTA

 全体の視聴率は決して高くはなかったものの、ドラマの面白さをSNSで発信する視聴者が増えるにつれ熱心な視聴者層「OL(おっさんずラブ)民」が発生。放送のたびに「おっさんずラブ」関連ワードがTwitterのトレンドに上がるなど、回を重ねるにつれ視聴者の熱量はムンムンと増すばかりで、第6話と最終回第7話放映時には2週連続で世界トレンド1位となりました。日本のOL民のチカラ、恐るべしです。

 テレビ制作者の間で「2018春ドラマの台風の目」と高く評価された同作とキャストはドラマ各賞を受賞し、主演の田中圭さんの人気がこれまで以上に沸騰、各メディアでこぞってグラビア特集が組まれ、過去の写真集までもがここにきて重版するなど、2018年売れに売れた田中圭さん。

 そんな彼が演じた主人公・春田創一(はるたん)33歳は、ズボラで会社でも業績が上がらず、童顔巨乳の女の子が大好きなのにモテない不動産会社員。第1回エピソードでは春田のあまりのズボラぶりに見切りをつけた母親が家出してしまい、春田はその広い一軒家にイケメンのエリート後輩・牧凌太(演・林遣都)をルームシェアで呼び込み、器用な牧に身の回りの面倒を見てもらうという体たらく。そこに想定のはるか外側、会社の上司である渋い黒澤部長(演・吉田鋼太郎)から「はるたん(ハート)」と乙女な情熱満載の愛の告白を受けてパニックを起こしていると、今度は意を決した牧にも迫られ、おっさんたちの愛の三角関係の出来上がりドーン! という筋なのですが……。

 そんなおっさんの愛の三角関係に、なぜ30・40代の女性たち「OL民」は入れあげたのでしょう?

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河崎 環
河崎 環(かわさき・たまき)
コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。家族の転勤により桜蔭学園中高から大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での生活を経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続けている。子どもは20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
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