冷静沈着なアラサー独身女子さえも…

◆「かわいいな、と思います。『見て見て! 幸せなのー!』と強さやピュアさを外に出せるのは、すがすがしい」
◆「そういう自由さやある意味での鈍感さは、今の時代を生きていく上で必要な力です」
◆「『言われてみれば、周りにもいるね』というくらい、幸せなんだな、よかったねという感じ」
◆「結婚への憧れや理想よりも、『結婚となるといろいろ大変そうだ』ということが先に頭をかすめてしまうので、法的にも生活的にも、いろんな制約や過程を経るという面倒臭さを超えてでも誰かと結婚しようと思えるのはすごいなあ、と思う」
◆「結婚=花嫁になる? いえ、引き続き、生活が続いていくという認識です。単なる通り道」

 なんと、私が黒い気持ちで期待した嫉妬など1ミリもなく軒並み冷静を貫くアラサー女子たち。ただ、結婚「式」の話になると

◆「結婚式は楽しそうなので挙げてみたい!」
◆「結婚式というか、自分の好きな人たちを一堂に集めた会って超楽しそうだな、という憧れがあります!」
◆「実際、家族や親戚も含めて、自分の好きな人たちを集めて過ごせた結婚式は本当に、楽しかった!」

 と、突如テンションアップ。そうでした、アラサーにとっては結婚式の意味が違うんですよね。ほぼ会ったこともないような親戚と会社関係とごく少しの古い友人たちの前で、緊張して取り澄まして結婚を「ドヤァ」とご披露するのではなくて、「好きな人たちを集めて、企画から実行までをみんなで達成するパーティーイベント」。仲間かあ……いいなぁ。

 中には、参列者側の幸せを口にする人も。

◆「結婚式に参列する友人のSNS投稿などを見ていると、結婚式は、式を自分たちの思い通りにできる主役よりも、むしろ参列する側にとって大きな喜びなんだと思います。花嫁・花婿をサポートするブライズメイドとかアッシャーとか、絵になる結婚式を企画からお手伝いができて、自分も準主役になれる。みんなと同じドレスをまとって一緒に並んで写真に収まる。特に、毎日を充実させたいキラキラ女子にとっては、結婚式はとても大切なイベントなのかもしれません」

ゼクシィは重い。いろんな意味で

 一方で30代半ばの既婚者からは、絞り出すような言葉とともにリアルな経験談が……。

 ◆「ゼクシィは重い……。いろんな意味で、です。私も結婚が決まってゼクシィを買いましたが、買って5分で手放したくなりました。なんなんですかね、ヒールを履いた足にずっしりと重みがきて……。結婚という未知の世界に入るワクワク感や一時的に忙しい仕事と距離を置ける解放感と同時に、これからこのロマンチックな世界にどっぷり漬かれるのかなという不安の重みと相まって、『必要なところだけちぎって、サクッと終わらせたい』気持ちが生まれたのも事実です。やってみると、結婚式は楽しかったんですが……」

結婚式の意味が変わってきた(C)PIXTA
結婚式の意味が変わってきた(C)PIXTA

 結婚はゴールではなく、スタート。そのスタートに立つにあたり、ゼクシィを抱きしめて闊歩していたあの女性は、両手にずっしりとした重みも感じていたことでしょう。そう公平に考えると、ゼクシィは勲章とまではいかなくとも、「よかったね」「よく頑張りました」のハンコくらいには「ドヤ」かもしれません。

文/河崎環 写真/PIXTA