文部科学省の私大支援事業を巡る汚職事件。東京医科大学の贈賄・不正合格事件の捜査が進む中で、同大によって女子受験生を対象に入学試験の得点操作が行われていたことが判明しました。その後、実は、女子だけでなく3浪以上の男子の合格者数を抑えるために、複雑な計算式による点数操作がなされていたという続報が出て、大きな話題となっています。

医学部受験生の中では「あるある」だった なぜ?

 今後も報道により新たな事実が分かるかもしれませんが、その続報によると、行われた点数操作とは、1次と2次の結果が出た段階で全員の小論文の得点に一律「0.8」の係数を掛けて減点。男子の場合は、減点後に現役と1~2浪の受験生に一律20点を加点し、3浪には10点を加点。女子と4浪以上の男子には一切加点をしなかったというもの。ちなみに、受験者の男女比率は約6対4、マークシート方式の学力1次試験を経た合格者は男女比率約2対1であるにもかかわらず、面接や小論文、「適性検査」で構成される2次試験を経た合格者における女子比率は、2割を切っていました。

 この、2次試験での「女子敬遠」や、そもそも女子が一般的に苦手とされる科目や分野の難度を意図的に上げることで間接的に女子を合格させにくくするような学力試験の出題法は、医学部志望の女子受験生の間では「あるある」だったのだとか。女子は一種の諦めとともにそれを受け入れて、それでも医学部に入るために攻略法を練り、自分の努力で(実力以上に狭くされている)狭き門を突破してきたのです。

医学部を目指す女子たちにとっては「あるある」だった (C)PIXTA
医学部を目指す女子たちにとっては「あるある」だった (C)PIXTA

 医学部を志望したことのない文系の私は、それを聞いて「何、その女子をなめた業界!」と怒りがフツフツしてしまいました。点数操作を「いわば必要悪。暗黙の了解だった」とする東京医大関係者のコメントにも「よくそれを公に言ったもんだー!」と、のけぞって驚きました。「女性医師は結婚や出産で離職するから系列病院の医師が不足する」、「女3人で男1人分」なんて意見にも、「この多様性の時代に――」と頭を抱えました。

 ところが、医師であり、ワーキングマザーである友人Aさんに意見を求めたところ、彼女は「非常に腹立たしく、国際的にも恥ずべきことです。でも一度頭を冷やして、今の日本の病院経営(とりわけ総合病院)の現状や医師の過重労働の現状を考えると、一定の理解はできるんです」と言うのです。

 「医学部受験って、ある意味で就職試験なんですよ」