「女性にとっての定年は、人生の再構築である」

 番組ホームページでは、ドラマの行く末をこのように予言しています。

「今までの私のキャリアってなんだったの!」意を決して会社を辞めるが、結婚したばかりの娘は出産で出戻り、元夫の母がいまだに何かと懐いてくる。果てはなぜか彼女の介護まで降りかかり、仕事を選ぶぜいたくは言っていられない状況に。そしてなりふり構わずいろいろな仕事をやり七転八倒するうちに、しだいに今自分がこの社会に対してやらなければいけないことに気付いていく。
(NHK BS プレミアムドラマ「定年女子」番組ホームページより)

 また、原案本「定年女子」の著者である岸本裕紀子さんは、ドラマに寄せてこのようにコメントしています。

女性にとって定年は、リタイアの淋しさと折り合っていく、人生の黄昏みたいなものではありません。その後の仕事のことや、親の介護、子供の結婚などいろいろ抱えながらも、前向きに、現役として、人生の再構築に向かっていく感じがします。
(NHK BS プレミアムドラマ「定年女子」番組ホームページより)

 リタイアは寂しいものではない? 本当でしょうか。

 私たちは日本社会全体としてまだ「女性の定年」をそれほど数多く知らないが故に、自分たちの60代や70代を描きかねているような部分があります。でも今、先輩女性たちが徐々にその門をくぐり始め、その後ろ姿を見せてくれているのですよね。

 女性が働くことが特別ではなくなった時代には、これまでの男性たちがそうだったように、いずれ大量の女性が定年を迎えます。私たちが皆74歳まで何らかの働き続ける気持ちを持ち続けられるよう、このドラマが教えてくれる「働き女子のその後」を見届けていきたいと思います。

文/河崎環 写真/NHK提供