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「専業主婦か、働くか」論争の「忘れ物」(3/4)

2018年6月1日

「一度も働いたことがないの? 信じられない」に返す言葉

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労働流動性が高く、女性活躍が当たり前の社会ではこうも違うのか

 そんな中で、彼女たちの生き方にも触れました。それぞれの母国からいわゆる「エクスパット」として外国住まいをしている彼女たちは、もともとは大変な高学歴の研究者だったり、医療従事者だったり、金融キャリアウーマンだったり、作家だったりするのです。その彼女たちが「子育てと向き合いたいから」「子育ても大事な仕事と考えているから」「今は家族と外国暮らしを楽しむ」と決めて、専業母親業を請け負い、インターナショナルスクールへの子どもの送り迎えをせっせとしているのでした。

「今は」。

 それは、労働の流動性が高い社会から来た女性たちならではとも思いました。今、専業主婦だからといって、一生専業主婦なわけではない。本国に帰ったら、子育ての手が離れたら、あるいは自分が働くと決めたら、またいつでも自由に戻れる。いや、自分の意思として、戻る。どういうかたちでも、働く場を見つけてみせる。

 女性が働くのが当たり前の社会では、自由に「働くモード」と「働かないモード」を物理的にも精神的にも行き来できるのです。だから彼女たちは、専業主婦であることは一時的な選択であるとして、恐れないのです。

自分の意志で行き来できる社会が、本当の女性が活躍する社会 写真はイメージ (C)PIXTA

 その頃日本では、一度専業主婦になったら、一生専業主婦なのだろうと皆がまだ信じている時代でした。一度仕事を辞めて専業主婦になった女性ができることといえば「せいぜいがパート勤め」で、「家計の助け」という観念から、男も女も自由になれていませんでした。

 女性が働くとはすなわち企業や組織に勤めてお給料をもらうことだ(そしてそれ以外は格好がつかない)、という発想の乏しい時代は、働く女性の姿にバリエーションがなかった。でも、女が働いて対価を得る方法なんて、企業に吸い上げられる以外にも方法はたくさんあったことに、今、日本はようやく気付いたように思います。

 パートタイムで医者をする、起業する、お店を開く、ソムリエ資格やピラティス講師資格を取って勤める、自分で学習塾やピアノ教室を開く、ネイルサロンを開く、作家になる、子どもの学校のパートタイム教師になる。これらは全て私の周りの実例ですが、自分の能力と使える時間次第で、ワークスタイルは、本当はいくらでもデザインできる。

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Profile
河崎 環
河崎 環(かわさき・たまき)
コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。家族の転勤により桜蔭学園中高から大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での生活を経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続けている。子どもは20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
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