私たちはなぜ「あさイチ」が好きなのか

 「あさイチ」チームの解散報道後の朝、放送の冒頭挨拶の雰囲気の良さには、働く女性の間に「今、私たちが忘れてしまっている一体感を見た」と感動の嵐が巻き起こりました。

 有働さんとイノッチとヤナギーのすっきりした表情、そしてその日の出番はないのにスタジオの隅で生放送を見守ってむせび泣いていたアッキーこと篠山輝信さん。「か、花粉です」と言い訳をして涙を隠そうとするアッキーに「あとでイノッチのハンカチ貸してあげるから」と声をかけた有働さんのコメントには、それまで「あさイチ」の番組中に涙を流してはイノッチにハンカチを差し出されていた思い出や仲間への愛情が詰まっていて、名せりふだとさえ思えました。

 司会降板は有働さんの結婚が近づいているからではないか、今後はプライベートを充実させようとしているのではないか、と勘繰る報道に対しては、イノッチが「プライベートが充実してない前提、やめて(笑)。充実してるから!」と発言して軽やかな笑いにするなど、終始和やか。

 このチームには裏表などなく、チームとして本当に信頼し合って、仲良くいい仕事をしてきたのだなぁ、とそれさえもファンには涙を誘う場面でした。

 そうだ、私たちが「あさイチ」を愛してきたのは、そのチームの幸せな一体感に共感し、毎朝視聴者としてその空気の一部になりたかったからではないでしょうか。

 私たちが「あさイチ」でお茶目を連発する有働さんの姿を愛してきたのも、職場の中で彼女のような立ち位置になりたいと、憧れたからではないでしょうか。