家事代行、依頼する際のポイントは

 ひなのさんのように、限られた時間を有効活用するために家事代行を利用するシングル女性は増えているようです。家事代行大手のベアーズによれば、同社の利用者は既に25%がシングルの女性・男性とのこと。

 家事代行サービスで依頼できるのは、基本的に主婦が日常行う範囲の家事。エアコンやレンジフードの清掃など特殊な洗剤や器材を使うものは、ハウスクリーニングなどの別サービスとなります。高所の作業など危険を伴う作業や、家具の移動など重いものを扱う作業、人の体に触れる介護なども家事代行スタッフは行いません。

 家事代行サービス業者には、高いレベルのサービス品質をうたうところや、条件に合う家事代行スタッフとのマッチングをメインにするところなど、価格やサービス内容が異なります。「お金を払う以上は、自分では難しいレベルのサービスをしてほしい」と考えるか、「自分の手が回らないところをお願いするレベルでいい」と考えるかで選び方が変わります。割安な料金の「お試しプラン」を利用してみたり、ひなのさんのようにスポット利用で何度か頼んでみて自分の納得できるところを探すといいでしょう。

 家事代行を利用する際のポイントについて、ベアーズのスタッフである川津尚美さんにお聞きしました。川津さんは家事代行のキャリア9年、担当実績は6000件以上というベテランです。

 「家事代行を頼む際のハードルの一つが『他人を家に入れることへの抵抗感』だと思います。中には『散らかっているのを見られたくない』と、訪問したらキレイに整っているということもあるのですが、そのお宅の『散らかる傾向』を知るためにも、なるべく片付けていない状態で依頼していただきたいですね」

 せっかく頼むならあそこの掃除も、料理も……と思いがちですが、「あれもこれも依頼してしまうと時間内に終わらないこともあります。依頼する際には優先順位を決めて、事前に担当者に伝えていただくとありがたいです」。

 特に片付け・整理を頼む際は、どんなふうにしてほしいかスタッフに具体的に伝えるのがいいそうです。一人暮らしの人の場合、男女問わず「お任せします」と言われることが多く、どうしていいか迷うことがあるとか。「依頼に沿った結果を出すことが一番重要なので、希望をきちんと言っていただくといいですね」。パジャマはどこにしまってあると便利なのか。タオルはどう収納するのか。ハンガーの向きは……。ささいなことでも伝えるのがカギだそうです。

 料理を依頼する際は、タマネギやジャガイモ、ニンジンといった常備野菜のストックがあると便利。買い物代行も依頼できますが、一番多いのは「冷蔵庫の中にあるもので何品か作って」という要望とのこと。他に、あらかじめ決められた1週間分のメニューを作り置きしてくれるプランもあります。

常備菜を作ってもらうプランを利用する際は、ベーシックな食材を用意しておくといい (C)PIXTA
常備菜を作ってもらうプランを利用する際は、ベーシックな食材を用意しておくといい (C)PIXTA

 スタッフとの相性もありますが、納得いく利用のために大事なのはコミュニケーション。要望をきちんと伝え、生活スタイルや好みを具体的に把握してもらうことが満足への近道といえます。

文/大崎百紀、日経ウーマンオンライン編集部 写真/PIXTA