日経ウーマンオンライン読者にアンケートをしたところ、家族と住んでいて仕事をしながら家事を自分だけがやっている「ワンオペ家事状態」の人は4割弱も! シングル女性にとっても、将来を考えるとやや不安ですね。そこで、家事のシェアを頼むほうも頼まれるほうも心地よいコミュニケーションのヒントを専門家にお聞きしました。
(1)働く女性の75%「家事が負担」 既婚子ありは9割弱
(2)「ワンオペ家事」その実態は? 働く女性に聞きました
(3)心理学で分かるあなたの家事スタイル・弱点と対策
(日経DUAL有料会員限定)
(4)物を分ければ分かる! 家事ストレスの本当の原因
(5)片付けのプロが教える動線・グルーピング・予防のワザ
(6)家事のシェアがスムーズになるコミュニケーション術【今回はここ】
(7)散らかったままでOK 家事を上手に外注する方法
この特集で先に実施したアンケートでは、「仕事をしている」「家族などと住んでいる」「子どもがいる」という回答者のうち「自分だけが家事をしている」人は37%という結果でした。いわゆる家事ワンオペ状態です。また、ある程度は家事をシェアしていても、比率は自分に偏っていて負担を感じている人も少なくありません。
家事シェアができない事情はさまざまでしょうが、相手とのコミュニケーションによってもっとスムーズに家事を分け合うことはできないものでしょうか。
そこで、ハウスキーピング協会で整理収納アドバイザーを対象にコーチングを取り入れた指導を行っている、ビジューオーガナイズ代表の三谷直子さんにお聞きしました。
(ここからは、家事をシェアする相手を夫やパートナー、恋人と想定してお話を聞いていきます。)
依頼するときはすべて「具体的に」
まず、何かを依頼するときの最大のポイントは「具体的にお願いすること」と三谷さん。「特に女性から男性に対して何かを依頼するときは、言った以上のことを察してほしい、理解してほしいというのはわがままだと考えてください」
例えば、「片付けておいて」と頼むだけで、そのやり方を具体的に示さなければ、相手は自分が適切だと思っている片付けをします。それに対して「そういう片付け方じゃないのに!」と思った場合は? 「依頼されたほうは、自分ではミッションを完了したと思っているので『そうじゃない』『できていない』などと言われると不満を持ちます」(三谷さん)。何をどう頼むのかを、よく考えることが大事です。
「働く女性は概して『自分がやったほうが早い』と考えがちで、自分ができることをかみくだいて他人に伝えることが苦手な人が多いのですが、それでは仕事において部下を育成するのは難しいですね。キャリアアップの練習の一つと思って家事シェアに取り組んでみては。自分一人が頑張らないためにも大切なことです」
彼はリーダー型? シンクタンク型? 相手別の頼み方
さて、同じ内容を伝えても、相手とのタイプや相手との関係性によって結果が異なることは多いもの。三谷さんが勧めるのは、相手のコミュニケーションスタイルによって分類する考え方です。コミュニケーションスタイルは大きく分けて「リーダー」「プロデューサー」「シンクタンク」「ヘルパー」の4タイプです。
◆「リーダー」タイプ:文字通りのリーダー、引っ張っていく人。自分自身で判断したい。物事を結果から話す。面倒見がいい。
◆「プロデューサー」タイプ:企画する人、感覚や直感に優れ、オリジナリティーを大事にする。自分のやり方を否定されるとやる気をなくす。
◆「シンクタンク」タイプ:論理的に考える人。物事を時制に沿って(過去から未来へ)話す。
◆「ヘルパー」タイプ:人を援助するのが好きで、思いやりがある人。
これらは固定的なものではなく、相手との関係性によって変わることがあります。例えばリーダータイプが2人いる場合、よりリーダー性が強いほうがリーダーになり、もう一方はヘルパーになるといったことも。つまり彼がどのタイプなのかはあなたとの関係性にも影響されるため、何通りかのコミュニケーションを試してみるのがいいそうです。
では、タイプ別に上手な依頼の仕方をみていきましょう。