コツその2:自分にとっての「適量」を知ってキープ

 「次に重要なのは、物の『適量』を知って、不要な分は捨てること。しかし、捨てるのが一番難しいですね」(山口さん)。プロとしてお手伝いする際も、「捨てる」作業が大変だとのこと。人によっては時間もかかりますが、捨てられないモノを無理に捨てる必要はないといいます。

 頭では分かっていても、捨てられないものがあるというのも分かる、と山口さん。そういうときは、現場でヒントもいろいろ出すそうです。「例えば『ベスト10だけ残してみましょうか』とか。一つひとつ丁寧に向き合いながら進めていくと、物に対しての執着がなくなって手放せるようになったり」。万人に共通の「捨てるルール」はないといいます。

 適量を持つ、というのは散らからないための重要な要素。一緒に使うものを同じゾーンにまとめるグループ分けをして、そこに収まるだけの量をキープするのもいいそうです。

コツその3:片付けの軸は「物」と「場所」の2つ

 片付けの方法は、2パターンあります。「物」ごとに行うのか、「場所」ごとに行うのか、です。

 「物別での片付けの場合は、本なら本だけ、家中の本を、まずは全部出すところから始めます」。出した本を1カ所に集めれば、家の中にどれだけの本があるのか目で見て分かります。不要な本、捨てるべき本も出てくるかもしれません。靴でも、玄関に入り切らなくてクローゼットに入れている人もいます。物を集めた上で、どこにしまうのか決めていきます。集中力があって長時間取り組める人には、この方法が向いているそうです。

 一方、場所ごとに片付ける方法は、今日は玄関、あしたは押入れ、あさってはキッチン……と実施していきます。一度にかけられる時間が限られている人に向きそうですね。プロとしてお客様の自宅を訪問する山口さんたちも、時間があらかじめ決まっているので場所別に片付けることが多いようです。過去に訪問したお宅では、物があふれていて家の中に入れなかったケースも。やむを得ず、玄関から片付け始めて、廊下、リビングへと進んでいったとか。

 もしも今、家の中で気になるところがあるなら。玄関だけ、トイレだけなど、できるところから始めてみましょう。

コツその4:自分にとって「理想の環境」を描く

 もう一つ、片付けや整理で重要なのが過去に執着せず、これからどういう生活をしたいかにフォーカスすることだそうです。

 「それによって理想とする自分の世界をつくれますよね。自分の世界をつくる作業ですから、すごくクリエーティブな仕事なんですよ」

 「捨てなきゃいけない」とか「散らかったのを元に戻すだけの作業」と考えるとひたすらつらくなってしまいます。自分がつくりたい100%のすてきな場を実現する作業だと思えば。楽しみも生まれます。

 例えば、普段使いの化粧品やサプリメントは、棚に入れるか、カウンターに置くか。「見せる収納」か、引き出しなどにしまう「隠す収納」がいいのかも人によって違います。自分の考え方のクセも分かってきて面白いかもしれません。

 ところで、「片付けたい」と頑張る人の中には、収納用品をそろえることに走ってしまう人もいます。「散らかった部屋を片付けていると、収納用品がやたらとたくさん出てくることがあります。整理整頓したい気持ちから、つい安価な収納グッズを購入してしまい、サイズが合わなかったり使い勝手が悪くて活用できず、そのままに……という残念なケースです」。

 収納グッズもやたらと増やさないほうがいい、と山口さん。買うときは必ずメジャーを持参して、サイズをきちんと計ってから。次に出てくる山口さんのお宅のアイデアも参考にしてください。