ストレスを減らすには、まず「分ける」

 では、家の中におけるストレスを減らす取っ掛かりとは? 「簡単です。持っている物を分けるだけ。分けていけば、分かるんです」(永田さん)

 例えば、キッチンの収納スペースに入っているいろいろな種類の調味料。混在していればただ探しにくく、使いにくいだけですが、しょうゆはしょうゆ、ソースはソースと分けることで、「こんなにたくさんのソースが必要なのか、これだけの味を自分は使いこなせるのかどうか」を自然と考えます。

 分けてみてまず分かることは、どれくらいの量を持っていて、ちゃんと使っていないものはどれくらいなのか。期限切れのものも、分かれていれば容易に把握できます。

 文房具なら、ペンはペン、マーカーはマーカーと分けていきます。ペンにも赤色と青色などがあれば色で分けます。書いたものを修正する消しゴムや修正液、修正テープなど目的別にも分けていきます。すると、自分は赤のペンはあまり使わない、消しゴムもあまり使わないなどと把握ができてきます。

 化粧品なら、口紅は口紅で分けていくことで、よく使っている口紅、使わないでしまったままの口紅が分かってきます。

 こうして分けたら、「自分が何をして、何を食べて、何を見ると幸せなのか」を考えて、その目的に合うものだけを選抜。自分のパフォーマンスを最大に上げてくれる物だけを選んでいきます。

 引き出しの洋服を分けたら、「捨てるか捨てないか」ではなく、最も心地よくて「あるべき幸せな自分」に似合うものだけを選びます。口紅なら、自分を一番きれいに見せてくれるもの。「二番目にきれいに見せてくれるものはいらない。自分にとっての『一軍』をどれだけ知っているかで人生は変わります」(永田さん)

「分ける」ことで、自分の「一軍」が分かります (C)PIXTA
「分ける」ことで、自分の「一軍」が分かります (C)PIXTA

「捨てる」ではなく、目的に合うベストな物を「選ぶ」

 選抜した結果、物が減ったとしてもそれはあくまで結果であって、捨てることが目的ではないそう。最初に物を分けないと、「これは捨てられる・捨てられない」の判断の繰り返しになってしまって、自分の目的に本当に合う物を選ぶのが難しくなります。

 また、「捨てるかどうか」は所有者が判断しなくてはいけませんが、分けるだけであれば所有者でなくてもできるので、誰かに手伝ってもらうこともできます。

 こうして手探りでも物を分けていくうちに、自分が何を目的にして、どうありたいのかを考えられるようになります。「漠然と『幸せになりたい』ではなくて具体的に、どうあれば幸せなのか考えられるようになれば、それに合う物だけを選べるようになり、ストレスがなくなります」(永田さん)

 例えば、食器を洗うのが嫌いという人も、本当に気に入っている大好きなお皿だったらきれいにしたいはず。食器を分けてみたら、どうでもいい食器を何も考えずに使っているといった現実が見えるかもしれません。

 自分の目的が分かれば、似合わない物を使うことも買うこともなくなります。

 例えばマグカップを選ぶとき、見て、持ってみるだけでなく、永田さんはスマホでマグカップと自分のツーショットを自撮りして、確認したりします。「自分に最高に似合うことが大事!『ま、いいか』で買ってしまうと、また物の混在を生んでしまいますから」

 片付いているかどうかの基準は人によって違うので、きれいに見えることがゴールではない。「物を分けて、目指すべき目的が分かったらそこがゴール。運も人生も変わります」(永田さん)

文/日経ウーマンオンライン編集部 写真/PIXTA

プロフィール
永田広美
永田広美さん
カルチャリア CHO(チーフハピネスオフィサー)。ハワイ式風水創始者、環境整備マスター。1983年に渡米。通訳者・翻訳者、エッセイスト、ラジオパーソナリティー、マーケティングディレクター、国際イベントコーディネーターとして活躍。ハワイ、ニューヨークでの長年の生活経験を生かし、パーソナルコーチ、風水学を基礎にした環境アドバイザーとして活動。日本企業向けの働き方改革のプロジェクトも手掛ける。
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