居場所ごとに必要な日光浴時間をリアルタイムで表示

 前述のように「日本人の食事摂取基準(2015)」では、食品からのビタミンD摂取目安量を毎日5.5μgとしており、海外の基準を参考に1日15μg以上のビタミンDが必要と考えると、10μgほど不足する。この不足量を日光浴で合成するには、どのくらい日光に当たればいいのだろうか。

 その目安が分かる便利なツールが登場している。国立環境研究所地球環境研究センターが作ったサイト「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」だ。

 このサイトでは、国内12カ所の地域別に、日本人の平均的なスキンタイプの人がビタミンDを10μg合成するために必要な紫外線照射時間と、人体に有害となる紫外線照射時間を公開する。国内の研究・教育機関の協力をもとに、各観測地の有害紫外線モニタリングネットワークを構築し、ほぼリアルタイムで、「その場所で、その時刻にはどのくらいの時間、日光浴をすればいいのか」の速報値を出しているのだ。

 特に使いやすいのは「モバイル版」だ。

スマホからは「ビタミンD生成・紅班紫外線量情報モバイル版」として検索するか、「地球環境研究センター」のトップページから、「ビタミンDモバイル版」を検索するとアクセスできる
スマホからは「ビタミンD生成・紅班紫外線量情報モバイル版」として検索するか、「地球環境研究センター」のトップページから、「ビタミンDモバイル版」を検索するとアクセスできる

 長袖長ズボンで顔と手を露出(肌600cm2を露出)した状態、半袖半ズボン(ミニスカート)で顔と手の甲に加えて両腕、膝から下の部分も露出(肌1200cm2露出)した状態の2パターンで、10μgのビタミンDを生成するのに必要な紫外線照射時間と、それ以上浴びると皮膚にとって有害になる照射時間を確認できる。

 「お勧めする日光照射時間」が、10μgのビタミンDを生成するのに必要な時間、その下の表示が、それ以上浴びると皮膚が赤くなる(シミの原因になる)など有害になる恐れのある紅斑紫外線照射時間だ。

 例えば、11月の晴れている日の12時台に、横浜で、顔と手の甲を出した状態でビタミンDを10μg生成するために必要な紫外線照射時間は30分間。下段には、「日焼けしないよう76分以上の日光照射は避けましょう」と表示されている。

11月27日の12時台に、横浜でビタミンDを10㎍生成するために必要な紫外線照射時間は30分間でした
11月27日の12時台に、横浜でビタミンDを10㎍生成するために必要な紫外線照射時間は30分間でした

 同じ日の同時刻の札幌では、おすすめの日光照射時間は175分、沖縄県の波照間島では8分だった。

 肌の露出部分が増えれば時間は短縮され、横浜でも、顔と手の他に両腕と膝から下も素肌にすれば2分の1の時間の15分間、日光に当たればいいことになる。しかし、東北以北では冬の日光浴では十分なビタミンD生成はほぼ、難しいともいえる。

 「日光に直接、当たってさえいれば、歩いたり、作業やスポーツをしたりしてもビタミンDは生成されます。ただし、ガラスは紫外線を透過しないので、屋内では、日なたで明るい場所であってもビタミンDは生成されていない可能性が高い。日中オフィスで働いている人は、ランチタイムや休憩時にも積極的に日に当たるようにしましょう」と中島さん。