提案その4 夕方以降、カフェイン摂取量を減らす
もう一つ、睡眠の質に大きく関わるのがカフェインだ。
「熟睡感が低い女性は、カフェインの摂取量が高い傾向がありました。最低でも寝る前3時間、できれば6時間前からカフェイン飲料を控えましょう。カフェインは、コーヒーだけではなく抹茶、玉露、紅茶などのお茶類、エナジードリンク、栄養ドリンクにも含まれているので要注意です」と細川さんはアドバイスする。
また、不妊治療中の2413人の日本人女性を対象にした研究(※4)では、コーヒーを飲む量が多い人ほど卵巣の予備能を表すAMH(アンチミューラリアンホルモン)値が低いとの結果が出ている。「コーヒーには、子宮体がんや肝臓がんなどの病気を予防する効果が報告されており、よい面も多いのですが、将来妊娠を考えている人は、卵巣機能を低下させないために、過剰なカフェイン摂取は控えたほうがいい」と細川さん。
提案その5 階段を使い、電車では座らずに立つ
働く女性たちは運動不足も深刻だった。「第3期まるのうち保健室」の調査では、20~30代の働く女性の3割が、運動機能が低下し、寝たきり予備軍であるロコモティブシンドローム(運動器症候群、以下ロコモ)になっていた。
「働く女性の悩みで最も多い肩凝り、6番目に多い腰痛も運動不足による筋力の低下と密接な関係がありますし、20代~30代からロコモということは将来の介護リスクが懸念されます。ただ、内勤でデスクワークが多い女性でも、日ごろから階段を使い、電車では立つように心掛けている人たちは、ロコモになっていませんでした。筋肉のもとになるたんぱく質をしっかり取り、生活の中でエレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使うなど、普段から筋力アップに取り組む必要があります」
ラブテリは、東京・丸の内の働く女性に「1日30回のスクワット」を生活に取り込むように提案したが、実施率が低かったという。新しい習慣をつくるより、通勤時に電車で立つなど、自分のいつもの生活行動の中から続けられることを探し、筋力アップを図るのがいいのかもしれない。
提案その6 体重・体脂肪を毎日測る。BMI 19未満は要注意
「体重と体脂肪は、自分の体の状態を知るバロメーターです。体重だけでなく、体脂肪も含め、定期的にチェックしてほしい。女性の場合、BMIが19~25kg/m2未満、体脂肪率が19~28%未満が健康を保つ上で理想的な体形です。BMIが19kg/m2未満の女性は、子宮内膜症発症や骨密度減少リスクが上昇し、将来不妊症や要介護者になるリスクも増加します。断食、1日1食ダイエットや単品だけの偏ったダイエットなどは、無月経や月経不順、健康を害することにつながりかねません。偏ったダイエット情報に振り回されないようにしてほしいです」と細川さんは強調する。
少しだけ食事やおやつの習慣を見直すだけでも、あなたの栄養バランスや睡眠は改善し、気分や体調がよくなるはず。そして、今のいい栄養習慣は、将来の妊娠のためにも、自分の生活習慣病や寝たきりの予防にもつながっていく。ぜひ、今日から6つの提案を実践してみよう。
文/福島安紀
予防医療コンサルタント。東京とNY在住の医師・栄養士・料理研究家による予防医療プロジェクト「Luvtelli Tokyo&NewYork.」代表理事。米国で最新の栄養学を学び、International Nutrition Supplement Adviserの資格を取得。2014年、三菱地所と共同で東京・丸の内に「まるのうち保健室」を立ち上げ、名古屋、大阪、札幌、京都でも働く女性のための保健室を展開。働く女性に対する健康相談・啓発、実態調査を行っている。
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