9割以上の女性がビタミンB1不足

 さらに問題なのは、摂取エネルギーだけではなく、健康の維持に必要な多くの栄養素が不足していることだ。

 「日本は明治時代に、ビタミンB1欠乏症である『かっけ』で多くの死者を出しました。それにもかかわらず、20代~30代の女性で最も不足していた栄養素がビタミンB1です。ビタミンB1の欠乏が、むくみ、エネルギー不足、うつ傾向、しびれといったさまざまな不調の一因になっている可能性もあります。また、睡眠の質を高めることが分かっている食物繊維もほとんどの女性が必要な量を摂取できていません。調査対象になった女性たちの9割は、いずれ赤ちゃんを産みたいと考えているにもかかわらず、おなかのなかで赤ちゃんを育てるときに不可欠なミネラルも不足しています。カルシウムは91%、鉄分は92%が不足していて、健康な血液や骨を保っていくのが難しい状況になっています」(細川さん)

働く20代~30代女性に不足している代表的な栄養素
働く20代~30代女性に不足している代表的な栄養素
出典「Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査」Copyright 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリAll Rights Reserved.

20代なのに、体の「サビ率」は50代レベル

 慢性的な栄養失調によって、約4割の女性が、400mlの献血ができない状態(ヘモグロビン値12.5g/dl以下)になっていた。また、「まるのうち保健室」に参加した20代~50代までの女性459人の尿中の活性酸素の量(サビ率)を測定したところ、本来は女性ホルモンの抗酸化力に守られ最も低くなるはずの20代の平均が50代とほぼ同じ数値だった。

世代別 平均サビ度
世代別 平均サビ度
出典/第3期まるのうち保健室、2017年ヘルスケアシステムズ調べ(2017年)

 「体内の活性酸素が多くてサビ率が高い20代女性は、ラーメンが好きで野菜の摂取量が少ない傾向が見られました。逆に、サビ率が低い人は、抗酸化効果のある緑黄色野菜をたくさん食べていました。活性酸素の量は、加齢によっても増えるとされますが、食事の内容に影響されるのです。労働時間が長くなればなるほど増えるものは、酒、焼き肉、ハンバーグ、揚げ物。忙しく働く20~40代の女性は体内の酸化が進み、老化が早まる可能性が高く、妊娠機能への影響が懸念されます」と細川さんは話した。