20~30代で出産未経験の働く女性、約3000人を対象に調査を実施したところ、約500kcalも摂取エネルギーが不足していることが分かった。さらに、尿中の活性酸素の量が多く、いわゆる「サビ率」が高い結果も。肩凝り、冷え症、月経不順などの不調を抱えている実態も浮き彫りになったという。

 東京、名古屋、大阪、京都、札幌などの大都市で、いつか赤ちゃんが欲しいと願う働く女性を対象に健康診断や栄養カウンセリングなどの「保健室」を実施する一般社団法人ラブテリ。そのラブテリが、2014年から4年間に保健室の参加者である20~30代で出産未経験の働く女性約3000人を対象に栄養や食事の実態調査を行った。

 調査の結果では、摂取エネルギーが約500kcalも不足し、肩凝り、冷え症、月経不順などの不調を抱える働き女子の実態が浮き彫りになった。2018年10月のヘルシー・マザリング・プロジェクト第1回研究会でラブテリ代表理事の細川モモさんが講演した内容を2回に分けてリポートする。

ラーメンやお酒は好きでよく食べます……え、栄養が足りていないんですか、私? (C)PIXTA
ラーメンやお酒は好きでよく食べます……え、栄養が足りていないんですか、私? (C)PIXTA

「仕事に追われる」毎日で、栄養不足、運動不足、睡眠不足の3重苦に

 「働く女性は仕事で多忙な日々の中で栄養不足、運動不足、睡眠不足の3重苦に陥っています。2014~16年に東京・丸の内で20代~30代の働く女性1000人を対象に実施した調査では、1日の平均エネルギー摂取量は1479kcal。推奨栄養量より約500kcalも不足し、働く女性の栄養失調は深刻です。飽食の時代でありながら、終戦直後ないしは戦時中をも下回っている彼女たちは、『新型栄養失調』になっている。そして痩せ過ぎている女性が増えています」と話す細川さん。働く女性たちは、フルパワーで長時間働きながら、少しのエネルギーでしのいでいるのが現状なのだ。

 「就業時間が長くなるほど朝食の欠食率が高まるという結果が出ていますが、その背景には、一食抜いて痩せてきれいでいられるならいいのではないかという、ゆがんだ認識があります」――細川さんは、そう指摘する。

 ラブテリは、東京・丸の内の「まるのうち保健室」、名古屋市では「名駅保健室」、大阪では「梅田保健室」など、働く女性の保健室という位置付けの場を設け、そこで体組成計、ヘモグロビン、骨量の測定や食事内容の調査などを行うとともに、食事・生活改善のアドバイスを実施している。調査はその参加者を対象にしたもの。

 調査から分かったのは、20代~30代の女性がカロリー不足になっている最大の要因が朝食抜きだということ。朝食欠食率は東京・丸の内で働く東京女子が36%、名古屋市で働く東海女子が28%、大阪市では38%、京都市で29%、札幌市で44%だった。朝食を食べている女性の割合が比較的高い名古屋市と京都市では親との同居が多く、欠食率が高い東京・丸の内、大阪市、札幌市は一人暮らしが多かった。

エリア別・朝食欠食率
エリア別・朝食欠食率
出典/「働き女子白書2018」(ラブテリ)より

 「働く女性の朝食欠食率はエリアによる差がありますが、仕事をしていない人も含めた一般女性の約2倍。残業時間が長いほど、朝食欠食率が高くなります。朝食を取らない理由を聞いてみると、身支度が優先であることや疲れているので長く寝ていたいから。朝食を食べないほうが健康にいいと思っている人もいました」と細川さん。