血液検査で分かる栄養チェック

 3つ目の栄養チェック法は、医療機関で血液を分析することで栄養状態を判定する検査だ。

 血液は体の細胞に酸素と栄養素を運んでいる。だからその内容を調べれば、腸から吸収された栄養の状態が分かる。米国ではオーソモレキュラー(分子整合栄養学)と呼ばれ、医療への応用が進んでいるが、日本でも近年、こうした考えに基づいて、実際に血液の中に含まれる成分から栄養状態を読み取る検査を行うクリニックが増えてきている。

 ナチュラルアート クリニック(東京都千代田区)では、三大栄養素と各種ビタミン、ミネラル※の過不足を少量の採血(15cc~)で判定し、栄養アドバイスを行っている。「血液中にはさまざまな酵素や代謝物が含まれている。これらの相関関係やバランスから栄養状態を読み解く」と院長の御川安仁さん。「単純に、血液中に溶けている栄養素を調べるだけではない」という。

 検査結果には、過去数カ月程度の栄養状態が反映されるという。「食べてはいても消化吸収が不十分とか、体内で効率よく使われていないなどの、慢性的な栄養問題も分かる」(御川さん)。貧血や自律神経のバランス、疲労の度合い、アレルギーについての情報も得られる。

 20~30代女性が受診する場合、倦怠(けんたい)感や抑うつ、不眠など心身の不調が理由として目立つが、妊活目的の人もいるという。「不調があって受診しても他院ではこれといった異常値や病気が見つからず、途方に暮れて来る方が多い。血液を分子整合栄養学的に解析して初めて、栄養に問題があると分かるケースがほとんど」(御川さん)。

 同クリニックでは検査結果をもとに、基本的には食生活をはじめとする生活習慣を軸に改善策を立てる。深刻な栄養不足の場合はサプリも検討されるが、食事に気を付ければ多くの場合1~3カ月程度で栄養バランスが整い、症状も改善に向かうという。

●「最小セット」の検査で分かる項目
血糖値、たんぱく質、脂質・コレステロール関連、ビタミンB6、B3(いずれも間接値)、ビタミン12、葉酸、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、鉄、貯蔵鉄(フェリチン)など。
※最小セットには、ビタミンDは含まれていない。「標準セット」では項目数が増える。
医師の診察後、調べる項目数に応じ15cc~40cc程度の採血が行われる
医師の診察後、調べる項目数に応じ15cc~40cc程度の採血が行われる
結果は1週間程度で分かり、再診時に医師から直接説明を受ける。生活面で気を付けるポイント、意識して取るべき栄養素の優先順位などのアドバイスがもらえた。遠方などで来院が難しい場合、同院では応相談で看護師による遠隔採血訪問や、医師の解説を付けた郵送対応も行っている
結果は1週間程度で分かり、再診時に医師から直接説明を受ける。生活面で気を付けるポイント、意識して取るべき栄養素の優先順位などのアドバイスがもらえた。遠方などで来院が難しい場合、同院では応相談で看護師による遠隔採血訪問や、医師の解説を付けた郵送対応も行っている
最小セットの検査項目は66。数値そのままだけで判断するのではなく、各数値の相関から、医師が栄養状態を読み解いて解説してくれる
最小セットの検査項目は66。数値そのままだけで判断するのではなく、各数値の相関から、医師が栄養状態を読み解いて解説してくれる
●費用など
栄養検査は自由診療で、ナチュラルアート クリニックの場合、検査費1万4000円(最小セット)、3万5000円(標準セット)。これ以外に、初診登録料3000円、診察料5000円(15分ごと)がかかる。費用はすべて税抜。
血液による栄養検査を行っている医療機関は、HPなどで「栄養療法」「オーソモレキュラー」をうたっているところを目安に問い合わせを。

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文/渡邉真由美 取材協力/あすけんユカシカドナチュラルアート クリニック(東京・四ツ谷)

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