「忙しいから今は朝食抜きだけど、妊娠したらちゃんと食べよう」。そう思っている人がいたら、ご注意。実は、元気な赤ちゃんを産むためには、「妊娠したら」ではなく「妊娠前」の栄養がとても大切。今回は、「妊活に大切な栄養が取れる朝食献立」をご紹介。

 妊娠してからの栄養の大切さはよく知られているが、実は元気な赤ちゃんを産むためには、「妊娠前」の母体の栄養状態が想像以上に重要だと分かってきている。ABCクッキングスタジオは、ロート製薬と共同で「いつかママになるために、今から始めるカラダづくり」という妊活のための料理教室を行っている。第2回の今回は、「妊活に大切な栄養が取れる朝食献立」を紹介しよう。

朝食抜きは、自分のためにも妊活のためにもNG

 働く女性は忙しく、朝食を抜く人は多い(*1)。1食抜けば1日に必要なエネルギーや栄養素が取りにくくなるが、「太りたくないし、まあ、いいか」と思いがち。しかし、エネルギー不足の女性は、仕事のパフォーマンスも落ちやすく、疲れやすい、冷える、肌が荒れるなどの不調を抱えやすい。

 また、痩せた状態で妊娠すると、その栄養状態が赤ちゃんの成育にも影響を与え、小さく生まれやすい(2500g未満の低出生体重児)ことが分かってきている。低出生体重児は、将来、生活習慣病などの病気にかかるリスクが上がる場合もあるので、妊活をする女性は、「妊娠してからではなく、妊娠前から痩せ状態を改善しておくことが重要」というのが最新の知見だ。

 朝食を食べることには、別の意味もある。食事を抜くと次の食事の後の血糖値が上がりやすくなる。食後高血糖は肥満や糖尿病につながりやすいので、自身の健康のためにも朝食抜きはNGだ。

 朝の体は、エネルギー源である炭水化物や、体の構成成分であるたんぱく質を欲している。主食には食物繊維の豊富な玄米や大麦、雑穀などの食材を選ぶと、さらに血糖値の急上昇が抑えられ、腸活にも役立つので一石二鳥だ。その上で、葉酸、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンDといった妊活に必要な栄養素を意識して取ると理想的。今のあなたのコンディションのためにも、いつか迎える赤ちゃんのためにも「朝食抜き」生活にさよならしたい。

 作り置きなども活用して、まずは朝食を食べる習慣づくりから始めよう。今回は「妊活に重要な栄養素を朝食でチャージ」というテーマで2献立をご紹介。ポイントをABCクッキングスタジオの栄養士、田中亜耶音さんに聞いた。

(*1):平成29年国民健康・栄養調査より。20代女性の朝食欠食率は23.6%

妊活おすすめ朝食献立1

サラダボウル、カレーミルクスープ、バナナレーズンヨーグルト
サラダボウル、カレーミルクスープ、バナナレーズンヨーグルト

サラダボウル
カレーミルクスープ
バナナレーズンヨーグルト

この献立の栄養価(1人分) カッコ内は1日の目安と、この献立により充足率
エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物
699kcal
(2000kcal(*2)、35%)
26.2g
(50g、52%)
21.1g
(44g、48%)
103.0g
(250g、41%)
食物繊維総量 カルシウム 亜鉛
6.1g
(18g、34%)
344㎎
(650㎎、53%)
5.5㎎
(10.5㎎(*3)、52%)
3.10㎎
(8㎎、39%)
ビタミンD 葉酸
1.4μg
(5.5μg、25%)
102μg
(640μg(*4)、16%)

妊活おすすめ献立2

ひじきと大豆の混ぜご飯おにぎり、たっぷり豆腐とこんにゃくの豚汁
ひじきと大豆の混ぜご飯おにぎり、たっぷり豆腐とこんにゃくの豚汁

ひじきと大豆の混ぜご飯おにぎり
たっぷり豆腐とこんにゃくの豚汁

この献立の栄養価(1人分) カッコ内は1日の目安と、この献立による充足率
エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物
619kcal
(2000kcal(*2)、31%)
23.6g
(50g、47%)
20.6g
(44g、46%)
81.5g
(250g、33%)
食物繊維総量 カルシウム 亜鉛
8.0g
(18g、44%)
215mg
(650mg、33%)
3.2mg
(10.5mg(*3)、30%)
3.2mg
(8mg、40%)
ビタミンD 葉酸
0.2μg
(5.5μg、4%)
63μg
(640μg(*4)、10%)

(*2)「日本人の食事摂取基準2015年版」より。エネルギーは30~49歳女性の推定エネルギー量(身体活動レベル・普通)。栄養素は18~49歳女性の推奨量、目安量、目標量より。充足率はこれらをもとに編集部で算出。脂質、炭水化物については、総エネルギーに占める目標値の割合の最小値から重量を算出した。
(*3)月経ありの女性
(*4)妊娠を計画している女性。妊婦は480μg