上司の立場から部下を見てみると

 「今どきの社員は、みんなこんな感じなんだろうか……」

 ある会社のプロジェクト会議に参加するため、少し早めに会議室に入ってみると、プロジェクトリーダーをしているC部長がガッカリとしたご様子です。どうしたのかと聞いてみると……。

 「午後イチの会議に使う資料を人数分コピーして会議室に置いておいてほしい、と頼んだんですよ。そしたらね、コピーはしてあるんだけど、ページ通りに並んでいないし、きちんと製本されていない。これじゃぁ、説明する人が不便だろうって、想像力が働かないのかな」

 C部長が手に持っている資料は、表紙など主なページはA4タテ型。それとは別に、A3ヨコ型の図表が何種類か、ただコピーされた状態で会議室のテーブルに積んであります。どうやらC部長は、A3ヨコ型の大きな図表は折りたたんで挟み込み、全ページをA4タテ型でキッチリ製本されていることを期待していたようです。

 これが、仕事を頼んだ側の「期待水準」です。

 上司の立場からすれば、部下にしてほしい行動をすべて一つひとつ言葉にして伝えるわけではありません。

 実際に言葉に表して頼むのは、「これだけ言えば、あとは自分の頭で考えて対応できるだろう」と思うレベルであり、「最低水準」です。