なりたい自分を強くイメージすると、自然と道は見えてくる

 当時まだ未熟者だった私が「ビジョンを持つことの大切さ」を知るきっかけになった、あるエピソードをお話ししましょう。

 20代前半の頃、ある講演会後のパーティーに参加したときのことです。50代後半のエグゼクティブ風の紳士が、シャンパンを片手に話し掛けてきました。「あなたのご専門は、何ですか?」。

 この質問に、私は即座にうまく答えることができず、グダグダと要領を得ない自己紹介をしてしまいました。情けなさのあまり激しい自己嫌悪に襲われ、泣きながら地下鉄で帰宅。

 そしてその晩、深く決意したのです。「絶対に30歳までに、私は何かの分野のプロフェッショナルになって、大勢の人の前で講演できるようになる!」と。

 その後、私の心の奥底にはいつもこの日の決意があり、「大きな舞台で拍手喝采されるカッコいい私」というイメージを持ち続けていました。それが、日々の仕事でつらい目に遭ったときの、私の心の支えとなったのです。

 そして、30歳のとき。大ホールの舞台には、自分で企画主導したプロジェクトの概要をプレゼンテーションして、数百人のビジネスマンから拍手喝采される私が立っていました。まさに私の決意が、イメージ通りの現実を引き起こした瞬間でした。

 パーティーでまともな自己紹介すらできない、未熟者だった私。それでも、心の奥に「絶対にこんな人になる」という強いイメージを持ち続けていれば、自然にそうなるために必要な道が見えてきて、自分の取るべきアクションが自然と分かってくるのです。あとは、目の前に来た課題を一つひとつ乗り越えていくだけ。

 これがビジョンの力です。ビジョンの力が、人に成長をもたらします。

 では、ここから先は、あなたがビジョンを考える番です。3つのコツを教えましょう。