雑用を頼まれてしまうワケ

 かつて会社員をしていた頃、私は上司から次々に雑用ばかり言いつけられていました。同じ職場には同期社員が何人もいて、同僚たちは成果やスキルにつながる仕事を担当しているのに。「なぜ私ばかりが雑用を任されるの?」と思いつつも、会社のためにとガマンして自分の不満を押し殺していたのです。

 ある日、雑用ばかり頼まれる、その理由が判明しました。

 私がやたらと手間のかかる雑用に取り組んでいるとき、すぐ横に上司が来てこう言い放ちました。「オマエ、本当に雑用が好きだよなぁ~」。

 その顔には、感謝やねぎらいの気持ちなどみじんも浮かんでいません。まるで「そんな雑用に真面目に取り組むなんて、バカだなぁ」とでも言いたげな、侮蔑と嘲笑が浮かんでいました。

 一瞬、その雑用を私に押し付けた当の本人である上司を「グーで殴ったろか?」と思いましたが、その気持ちを全身全霊で抑え込みました。

 まさにそのときです。「はらわたが煮えくり返る」という表現がありますが、文字通りおなかの奥からブツブツと泡が立ち、急激な腹痛に襲われました。私が壊れた瞬間でした。

 こういった小さな事件がいくつも重なり、まもなく私はドクターストップがかかり、長期病欠の身となったのです。

 さて、話を元に戻しましょう。なぜ、「いい人」のままでいてはいけないのでしょうか?