朝から晩まで死ぬことばかり考えた

 顧客はわがままを言い放題。NOが言えず、赤字を承知で仕事を引き受けてくる情けない営業。日和見主義で信用ならぬパワハラ上司。先輩たちは長期出張でいつも不在。頼りになる人はいない……。

 そんな状況で案件を処理しているうちに、体力と忍耐力が限界を超え、ついにドクターストップが出てしまいました。長期病欠の間は、朝から晩まで死ぬことばかり考える日々。涙は枯れ果て希望の光は見えず、暗闇の生き地獄をさまよいました。

 しかし、そんなある日、地獄の底で宝を拾うことになります。心理学とリーダーシップ理論の本を参考に、自分で自分をカウンセリングしてみたら、心身共にきれいに治ってしまったのです。

 そして職場復帰した瞬間から、リベンジが始まりました。

 役員あてに提出した1通の企画書がきっかけで、新しい部署へ異動。そこでは休職期間中に学んだコツを用いて、上司を説得し、関連部署を巻き込んでプロジェクトを発足しました。私はプロジェクトリーダーとして、今までに我慢していたことを存分に試してみたのです。

 そして、わずか半年で、社長賞と功績賞をダブル受賞。最短期間で管理職に昇進し、いつの間にか私は、「いい人」から「デキる人」にポジション替えしていました。まさにキャリアのV字回復を果たしたのです。

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 この経験から、学んだことがあります。

 人は誰でも、「強く望むなら、短期間のうちに自分を変えることができる」と。こうして私は、働く人々をサポートするキャリア支援の仕事を始めることに至ったわけです。

 「頑張っている割に、ちっとも報われない」「なんだか損をしている気がする」と感じている、そこのあなた! 「いい人」を脱却して「デキる人」に変身してみませんか?

 あなたが強く望むなら、それは実現可能です。自分を変えることに、魔法も奇跡もいらない。特別な才能ですら、不要なんです。

 何をどうやったらいいかって? それを次回から、一つずつお伝えしていきましょう。

文/キャサリン門田 イラスト/六角橋ミカ