2. ワークショップで講師を務める日に……「一歩先行くおしゃれな先生」スタイル

<みなみさんによるポイント解説>

 「編み物アーティストとして活動の幅を広げていきたい」という遠山さんの目標を実現するには、講師役を務める場での存在感をより高めていくことが大事と考えました。ワークショップやセミナーに編み物を習いに来る生徒の皆さんにとって、遠山さんは憧れの存在。作品をオシャレに着こなした素敵な先生に習えることは、生徒さんにとって喜びや満足感にもつながります。かといって近寄りがたい印象になってしまうのもマイナスですし、温かで朗らかな遠山さんの性格の魅力を消してしまうことになるのでもったいない。ということで、目指したのは“半歩先行く”程度の品格アップ。

 お気に入りのマスタードイエローのニットの下には、上半身が明るく映えるよう白いブラウスを。上半身はふんわりとしたシルエットになるので、下半身は引き締めてタイトスカートに。アシンメトリーデザインのデニムで、クリエイティブな印象を醸し出しました。「あおいろニット」という活動名で、ニット仲間からは「あおちゃん」と呼ばれていると伺ったので、青をアクセントカラーとして効かせました。アイデンティティーと装いを一致させることで、より印象に強く残る存在感が生まれます。

-*-*-*-*-

 アドバイスを受け、作品を生かす装いへと変えていった後、着実に活動のチャンスが広がっていったという遠山さん。ある日、「これからは編み物の仕事を主軸にやっていく!」という決心がつき、家族も心から喜んでくれたそう。

 「以前の私は、ただ編み物を作るのが好きで、作品をアピールしたり、人前で教えたりすることにしっかりと意識を向けられていませんでした。服を変えて、周りから褒められる機会が増えて、少しずつ自信がついたのだと思います。服は“自分らしさ”を表せる頼もしいツールなのだと実感できました」

文/宮本恵理子 ヘアメイク/小林三紀恵 写真/小野さやか