電車内でどこに立つ？ 通勤中の身を守る防犯意識10

前から襲われる場合も 帰宅時に気を付けるポイントは？

　最後にお伝えするのは、駅から自宅まで徒歩で帰る際の注意点です。コンビニや夜道の曲がり角、自宅の玄関付近など、帰り道にはさまざまな危険が潜んでいます。

夜道にはさまざまな危険が潜んでいます

（8）コンビニはローテーションで利用する

　自宅周辺に複数のコンビニがある場合は、同じ店舗に通うのではなく、各店舗をバランスよく利用しましょう。特に夕食や夜食を購入する際は注意が必要です。一人暮らしの場合、一人分の食事だけを買うと同居者がいないことが周囲に知られてしまいます。飲み物を二人分買う、翌日の分まで多めに買っておくなど、一人暮らしであることが分からないように商品を選びましょう。

　また公共料金の支払いは毎月コンビニで行うのではなく、自動振替にしておくと安心です。住所などの個人情報が掲載された用紙が人目に付かないよう注意しましょう。コンビニは客層が幅広くさまざまな人が訪れるため、不審者がいたとしても気付かれにくいという特性があります。お店を出たら、つけてくる人がいないか振り返りましょう。

（9）自転車にご用心！ 夜道では前後を確認

　痴漢やひったくりの被害に遭った女性の中には、前方から迫ってきた自転車に乗った男性に手を伸ばされて触られたり、荷物を奪われたりした人もいます。後をつけられていないかと背後を確認するだけでなく、前方も必ず見渡しておきましょう。ひったくり対策には、エコバッグに通勤バッグを入れたり、バッグを二つ持って中身を分散させたりするのが効果的です。

（10）玄関ドアを開ける前に周囲をチェック

　自宅に到着した後、最も気を付けるべきポイントは玄関付近の物陰です。オートロックのマンションでも周囲の物陰に不審者がいないかを必ず確認し、鍵を開けたら速やかに入りましょう。

　部屋に入ったらすぐに鍵を閉めるのも重要です。靴音や鍵を出す音、玄関を開ける音などを聞いて、不審者が動き出す可能性もあります。できるだけ短時間で施錠し、身の安全を確保しましょう。

　ニュースで取り上げられている重大な事件以外にも、痴漢やひったくりなど、全国各地でさまざまな事件が発生しています。自宅の場所や個人情報が不審者に伝わってしまうと、住み慣れた街を離れなければならなくなる可能性もあります。犯罪に巻き込まれる前に、できる限りの対策をしておきたいですね。

文／華井由利奈　写真／PIXTA

この人に聞きました

佐伯幸子（さえき・ゆきこ）さん
All About防犯ガイド、安全生活アドバイザー。
女性や住まいの安全対策を中心に、暮らしの中のあらゆる場面での危険を指摘、排除する方法を分かりやすく解説。危機管理のスペシャリストとして、講演やTV出演をこなす一方、著書10冊の執筆など精力的に活動。近著は「まさか私が!? 女性を守るセキュリティマニュアル23」