4.色ペンも必ず持参、簡単に色分け

 ノートを見返すことも多いという青山さんが愛用しているのは、4色ペン。普段は黒色か青色でメモを取り、大切なことは赤色、分からない単語や疑問点は緑色――などと色分けを行い、メモにとった内容を簡単に識別できるようにしています。

 「厳密なルールにはしていませんが、『大事な部分は赤』ということだけは決めています。商談の前に前回の商談ノートを必ず見るようにしており、そのときに必要になりそうな箇所を赤でマーキングして、さっと振り返ることができます」

商談中に疑問に思ったことは、緑色でメモしています
商談中に疑問に思ったことは、緑色でメモしています
【ルール】
ノートを見返したときに分かりやすいよう色分けを行う


5.ノートを見返して記憶を定着させる

 青山さんの部署では、商談はすべて議事録にまとめ、部内で共有することになっています。議事録はパソコンで作成するそうですが、それなら商談時に、ノートではなくパソコンでメモを取るほうが効率的なのでは?

 「ノートパソコンを持って打ち合わせをするお客様がほとんどいらっしゃらないので、私もパソコンは使わないようにしているんです。それに、やはりノートのほうが相手の顔を見てしっかり話せる気がします」

 また、中部・北陸地域も担当しているということで、出張の機会も多いとのこと。出先で気軽にメモを取るのはノートが便利なのだそうです。

 「ノートに書いて、それをパソコンで議事録にまとめる、というのは確かに二度手間なのですが、今の私には必要なことだと思っています。自分の手を動かしてメモを取り、それを読み返してまとめ直すことで、記憶が定着するんです。覚えづらい細かな数字も頭に残るんですよ。まだまだ勉強することが多いですから、しばらくはこの方法を続けるつもりです」

 商談メモの最後には「感じたこと」という欄もありました。

 「その日のうちに、商談の所感を書くようにしています。お客様が何か具体的な言葉を発したわけでなくても、その場の雰囲気から感じることがあるんですよね。今はとにかく細かく報告をするように心掛けているので、ささいなことであってもとにかく書いておくようにしています。所感を読んだ先輩からアドバイスをいただいたこともあります」

「記憶に残っていれば、上司からの質問にもすぐに答えられます」
「記憶に残っていれば、上司からの質問にもすぐに答えられます」
【ルール】
ノートを振り返って学びにする


***

 営業になって2カ月。営業という仕事の難しさを日々感じているそうですが、「もともと人と話すことが好きなので」と楽しみながら取り組んでいる青山さん。そのノートには、2カ月間の営業活動のすべてが詰まっていました。キャリアを重ねるにつれて、きっとノートの使い方も変わっていくのでしょう。営業職でなくても、まねしたいと思えるポイントが満載でした。

文/藪内久美子 写真/清水知恵子