卵胞期を睡眠強化週間にすると、PMSがラクになる

 生理前の黄体期には、イライラしたり、情緒不安定になったり、むくんだりといったPMS(月経前症候群)に悩まされる人も多いのでは? 実はこうしたPMSの症状も、睡眠と深く関わっているそうです。

 排卵から月経までの黄体期は、黄体細胞を作るために体温を上昇させるので、深部体温が下がりにくい時期。睡眠時に深部体温が下がりにくく、深い睡眠が得られず、朝すっきりしなかったり、昼間眠くなったりということが起きるそうです。

 逆に、月経から排卵までの卵胞期は体温がストンと下がるので、ぐっすり眠れる時期。調子がいいこの時期の過ごし方で、PMSに悩まされる人と悩まされない人がはっきり分かれると菅原さんは言います。

 「黄体期に不調で動けないと、体の調子がいい卵胞期に挽回しようと残業をしたり、夜に家事を頑張ったりと、睡眠を削りがちですが、実はこれは逆効果。卵胞期に無理をすると、次の黄体期のPMSが余計につらくなります

 「体の調子がいい卵胞期こそ、睡眠を整えるチャンスと捉え、睡眠強化週間にしましょう。体調のいい時期によく眠ることで、自然と黄体期の体調も整って、PMSの多くは改善されていきます」

間食は睡眠リズムを乱す? 10時間の絶食で眠りのリズムが整う

 「光」と「体温」が睡眠リズムを決めることをお伝えしましたが、この2つほど影響は大きくないものの、「食事」も睡眠のリズムを決める要素だそうです。

 「体は絶食状態になってから次に食事を取ったときを、1日のスタートと判断します。6時起床の人なら、理想は20時までに夕飯を済ませて10時間の絶食状態をつくること。ところが、仕事に追われて昼に食べ損ねて夕方ごろにやっと食べ物にありつけ、遅い時間に夜ご飯をしっかり食べて寝る、ということをすると、朝から夕方までの絶食が最も長くなり、スタート時間を体が認識できず、体内時計がずれてしまいます。ランチがどうしても遅くなってしまう人は、遅いなりに食事の時間を固定することが大切。休日も同じ時間に食事を取るようにします」

 また、残業のときは、分食がお勧めだそうです。血糖値の上げ下げの幅が少ないGI値の低い食品を残業前に少し食べ、帰宅後は主食を取らず、おかずなど糖質の低い食べ物を少量食べるのがポイントです。

 「小さなおにぎりを残業前にドロドロになるまでかんで食べると、少量でも満腹感が得られます。夜中におなかがすいて眠れないときにもお勧めです」

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 睡眠の取り方次第で、仕事の効率を高めたり、女性特有の健康トラブルを改善することもできるんです。次回はタイプ別の不眠解消法をお届けします。

この人に聞きました
菅原洋平
作業療法士
菅原洋平さん
民間病院の精神科勤務後、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事。現在、東京・千代田区のベスリクリニックで睡眠外来を担当。「アクティブスリープ指導士養成講座」を主宰している。
特集「仕事がはかどる睡眠術」目次
(1)ぐっすり眠れてる? 自己流はNG! 眠りの常識ウソ・ホント
(2)夏の快眠ワザ6つ エアコンはつけっ放しにしてOK?
(3)寝ながらできること4つ 眠りの力を使って勉強や減量
(4)トイレ仮眠でもOK 午後の仕事がはかどる戦略的睡眠(この記事)
(5)3つのタイプ別・睡眠トラブル解決法 あなたはどれ?(8月29日公開予定)
(6)アンケートで分かった! 読者の睡眠のリアル(8月31日公開予定)

聞き手・文/中島夕子 イラスト/森のくじら