共感を経ないと解決策は考えられない

 先ほど「解決策と共感」の話が出ましたが、このふたつはどちらが重要かという話ではなく、「共感→解決策」という形で結びついているものだと考えています。

 人の悩みごとは、そう簡単に把握できるものではありません。例えば恋愛の悩みなら、自分や相手の性格、距離感や関係性、さらには親の影響や社会規範といったものまで、本当にさまざまな要素が絡み合っています。それゆえ、悩んでいる本人も自分が何に悩んでいるのか、ハッキリ把握していない可能性のほうが高いわけです。

 それらを読み解くためには、決めつけず、誘導せず、まずはじっくり相手の話に耳を傾ける必要があります。分からないことや疑問に思うことがあったら質問を投げかけ、理解度を高めていく。そういった対話を進める中で「いま何に悩んでいるのか(=現在地)」が少しずつクリアになっていき、両者の間で共有するものが深まっていく──。これが共感のプロセスです。

 そして、このプロセスを経由して初めて、「ではどうしたらいいか」という解決策を考えるフェーズにたどり着くことができる。我々はそう考えています。今回の相談は「男性の考えていることが分からない」という疑問だったので、その説明を試みることが解決策になりましたが、いずれにせよ、現在地や悩みの核心を明らかにしないことには解決策は提示できないというのが我々の考えです。

「相談に乗る」とはどういうことか

 さて、実は当連載はこれで最終回となります。2013年から担当させていただき、2度のリニューアルを経て100件近いお悩み相談に回答してきました。そんな連載のラストに「相談」にまつわるお悩みが来るとは……。

 でも今回の相談は、自分たちがどのようにお悩みと向き合ってきたかを改めて考え直すきっかけにもなりました。我々の回答が少しでもかほさんのお役に立てていたらうれしいです。

 この連載で回答してきたことは、「生き抜くための恋愛相談」(イースト・プレス)という本にもまとまっていますので、ご興味を持っていただいた方はぜひよろしくお願いいたします。

 当連載での恋愛相談はこれにて終了となりますが、桃山商事では常時「失恋ホスト」を受けつけておりますので、ご用命のある方はプロフィール欄の桃山商事ウェブサイトよりご連絡いただければと思います。またいつの日かお会いしましょう。今までどうもありがとうございました!

皆さんの恋の悩みが解決しますように (C) PIXTA
皆さんの恋の悩みが解決しますように (C) PIXTA

回答/清田代表&森田専務 文、図版/清田代表 写真/PIXTA