「恋」の本当の好きと、「愛」の本当の好き

 もう一つ厄介なのは、マサコさんが手に入れたがっている「本当の好き」には実は2種類あって、その区別がついていないという点です。

 というのも、相談文の最後には「彼は元カノのことが本当に好きだったんだと思います」とありますが、ここで想定されている「本当の好き(ややこしいので「B」と呼びます)」と、前のページで挙げたマサコさんの判断基準における「本当の好き(こちらは「A」と呼びます)」は、よく考えるとまったく別のものです。

 先ほど説明したAのほうは、言わば「ドキドキを伴う恋のエネルギー」のことですが、一方のBは、「時間をかけて育まれた構築的な愛情」という意味になるはずです。恋愛感情というのは「恋」と「愛」を区別しないと読み解けないというのが桃山商事の考えですが、ここでも両者の混在が問題の一因になっていると思われます。

無限に類推するより、表面化している事実だけを眺める

 では、これらを踏まえた上で、マサコさんは一体どうすればよいのか。まずすべきことは、現在の状況を受け入れることです。いったん「本当の好き」という概念を捨て、事実ベースで現状を眺めてみると、下記のような状態にあることが分かります。

(1)彼とは月に1~2回ほどデートする仲
(2)マサコさんはアプローチする側
(3)彼は曖昧な態度を取るような人間
(4)彼は元カノに連絡を無視されている

 これだけ見ると、今のところ彼の中にはマサコさんの求めるAとBの好きは両方ないでしょう。なぜならマサコさんはアプローチする側であり、さらにまだ元カノのように彼と長い時間を共にしていないからです。

 そして彼についても、「本当に好きなら今のような態度は取らないはずだ」と考えるのではなく、「そういう態度を取るような人間なのだ」と理解すべきでしょう。こそくにワンチャンを狙っているのかもしれないし、単に自分に自信がない人なのかもしれない。背景を考えればいろんな推測も可能ですが、それをやっているとキリがない。こういう場合は表面化している事実だけを眺めたほうが建設的です。

 さて、どうでしょう。ちょっとネガティブなことを書き連ねてしまいましたが……正直言って、我々としては「全然悪い状況じゃないでしょ!」と考えています。むしろ「勝負はここからやで!」という気持ちすら抱いているくらいです。