対話よりも会話が重視される日本社会

 平田さんによると、日本の社会に独特の「わかりあう文化」や「察しあう文化」のなかでは、対話よりも会話が重視される傾向があると言います。また、我々の本職である恋バナ収集をしていても、恋愛では価値観よりも“気が合うこと”や“相性が合うこと”の方が優先されがちなことが多いと感じます。これも会話的な関係が重視されている結果ではないかと思います。よく耳にする“一緒にいてラク”というのもこの延長線上にあると言っていいでしょう。

 もちろん、このように良好な“会話的関係”を築くことも大切なことです。しかしそれだけだと、価値観の違いにぶつかった時に擦り合わせができないため、“そのまま「妥協」して付き合い続ける”か“合わないから別れる”かという、どっちを取っても悲しい選択肢しか用意されていない状況に陥ってしまいます。だから“対話的関係”をできるだけ早い段階から意識していく方が、結局うまくいくことが多いのではないかと思います。

価値観を擦りあわせてみよう

 今回のケースでいうと、明子さんは、「球場の生ビール800円には、自分にとってそれだけの価値がある」「美味しいお店になぜ行きたいのか」といったことを、きちんと彼に伝えることが必要なのではないか思います。また、「彼がなぜコンビニで済ませたいと思っているのか」「食にお金をかけたくないのはなぜなのか」、その背景にある価値観を探り、耳を傾けることも大切でしょう。

 そのうえで、2人で具体的な擦りあわせを行っていけばよいのだと思います。例えばそれは、「ビールは球場で、食べ物はコンビニで買う」ことかもしれませんし、「できるだけ安くて美味しい店を2人で探す」ことかもしれません。

食以外の価値観のズレ

 また、対話をすることで食以外の価値観のズレもたくさん見つかるのではないかと思います。先ほどの喩えにならうと白いシャツが汚れてくるということですが、そもそも異なる人間同士なのですから、漂白されたような白よりも、汚れがある方が自然なことのようにも思うのです。

 明子さんが彼と、対話的な関係を築けることを願っています。

回答/清田代表&森田専務・文/森田専務

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