「スタティックな関係」と「ダイナミックな関係」

 それでは、智美さんはどうすれば良いでしょうか。方向性としては、

(1)マトモ人と恋愛する道を探る
(2)クソメンと結婚する道を探る

という二つがあるはずです。

 しかし、「結婚して子どもが欲しい」のであれば(2)はナシでしょう。残念ながら、彼らにはその覚悟も資質も備わっていないし、これから変化することもありません。

 では(1)はどうかと言うと、これも言うほど簡単なことではありません。なぜなら、恋愛というのは極論すれば「問題の発見と解決の繰り返し」だからです。問題が存在せず、思考や感情が揺れ動かない「スタティック(静的)な関係」よりも、正反対の「ダイナミック(動的)な関係」のほうが、恋愛をするには適しているわけです。

 そう考えていくと、(1)でポイントになるのは「スタティックなマトモ人との関係をダイナミックな関係へ移行できるか」ということになります。

 これに関しては、十分に可能性はあるはずです。というのも、現在のところ智美さんの態度は一貫して「受け身」です。マトモ人との関係がつまらないのは、まだまだ彼が見せてきた一面だけを受け取って判断しているからに過ぎないし、クソメンとの関係が「超楽しい!」のも、向こうから勝手に問題を起こしてくれたからそう感じているに過ぎません

 しかし、人間というのはそんな一面的な存在であるわけがないし、一人ひとり考え方も価値観も異なる人間である以上、その関わり合いの中に問題が起きないわけがありません。つまり、問題がない人なんていないし、問題のない人間関係なんてあり得ないのです。

 だとすると、智美さんがやるべきことは一つです。それは、「自分から観察・関与していき、マトモ人との間に問題を発見していく」ということです。ただし、これは「ワガママを言って彼を困らせよう!」とか「駆け引きをして彼を試してみよう!」といった話ではありません。そうではなく、彼を一人の人間として観察し、まだ見ぬたくさんの側面を発見したり、積極的に関与していき、さまざまな反応や感情を引き出してみる、ということです。