それぞれの帰属先と恋愛

 真由さんが「作り手」に属しているように、私たちはさまざまな集合に属しています。国籍、性別、地元、会社、業界などなど、大きなものから小さなものまで、挙げていけばきりがありません。

自分を構成する「集合」
自分を構成する「集合」

 一方で、カップルや夫婦などの恋愛関係は基本的に1対1のミニマルな関係であり、他の集合から切り離された密室的な状況の中でコミュニケーションがなされます。そうして作られるプライベートな空間自体が恋愛関係の一つの価値ではあるのですが、密室ゆえに相手(と自分)がたくさんの集合の一員であることを忘れがちです。

 そのため、それぞれが属する集合やそのメンバーに対する不用意で軽率な「批判」によって、傷ついたり怒ったり、逆に傷つけたり怒らせたりするということがしばしば起こるのだと思います。

よって立つところの違い

 もちろん、的を射た批判には価値がありますし、思っていることを言い合えないような関係性は窮屈で楽しくないでしょう。大切なことは、どんなに近しい関係性であっても、お互いがよって立つところに違いはあるという現実を認識して、相手の気持ちへの想像力をできる限り働かせることだと思います。

 真由さんの抱えるお悩みを考えているうちに、図らずもなんだか話が大きくなってしまいましたが、我々の回答のなかに、真由さんにとって少しでもヒントになるようなことがあれば幸いです。