ダメ出しが気になる第二の要因

 また、真由さんの中には、公務員である彼はクリエーティブなことが「よく分かってないくせに(素人のくせに……)」という気持ちがあるのではないでしょうか。この気持ちは上述した帰属意識の延長にあるものですが、「ダメ出し」が気になってしまうもう一つの要因になっているように思います。

彼の作り手マインド

 もちろん、「俺ならこうする」という、受け手であるはずの彼による作り手視点の批判にイラッとするだろうなというのはよく分かります。ただ、当たり前のことですが、受け手が創作物を批判するのは自由ですし、そのことを真由さん自身も理解しているのだと思います。さらに、もしもカレのダメ出しに対して真由さんが作り手側からの立場で反論してしまうと、「作ってない人間は意見を言ったらいけないのかよ?」と、彼の作り手マインドを刺激して、火に油を注ぐことは目に見えています。

 それで真由さんは、「彼以外でもよくある」「他のカップル同様」と、一般的であることを理由に自分を納得させようとしているのでしょう。しかし、自分が抱いた違和感や嫌悪感を放置しておくと、思わぬところでゆがみが出ます。

感情を抑制することによるゆがみ

 相談文を読む限りでは、既婚者のアニメーターの彼に対する真由さんの気持ちの高まりには、そのゆがみが影響している気がしてなりません。同じ「作り手」であるという同胞意識が、真由さんの彼に対する気持ちに下駄を履かせているのではないか……。不倫の是非や慰謝料のリスクといった一般的な倫理観や決まりごとよりも、真由さんの感情の抑制と暴走のほうが、我々としては心配です。

 次のページでは、具体的な対策を提案していきたいと思います。