好きではないKくんが悩みの種になるのはなぜ?

 では、もう一方のKくんはどうか。こちらに関しては、Yさんほど詳しく描写されているわけではありません。恋愛感情はないが、人としての相性はとてもいい──。これが書かれている情報のほぼすべてです。

 麻耶さんはYさんに片思い中なわけで、普通に考えたらKさんのことは「ごめんなさい」の一択で片付きそうなものです。しかし、「彼氏は4年いません。今がチャーンス! なのです」とあるように、麻耶さんは“彼氏”を欲している。だからKくんのことが悩みになるわけです。

 Kくんの告白にイエスと答えれば、すぐにでも彼氏ができます。しかし、これは麻耶さんの理想的なシナリオではないでしょう。

 かといって、Kくんを振るのも難しい。なぜならYさんと付き合える保証はないからです。背景には、「Kくんと付き合えばそのうち好きになるかもしれない」「このチャンスを逃したら次はないかもしれない」「もしかしたら後悔するんじゃないか」など、いろんな思いがよぎっていることと想像します。

 このように、「付き合うことも断ることもできない」というのがKくんをめぐる現在地です。