まだ、多くの職場に残る「休みを取りづらい」「定時に帰りづらい」という風潮。「日経ウーマンオンライン」と共働き読者が多い「日経DUAL」の共同企画では、「しっかり『休み』、早く『帰る』ための方法」を読者アンケートと識者に徹底取材しました。第5回は昨年、「定時退社協会」を立ち上げ話題になったヤッホーブルーイングを取材しました。早帰りの文化が浸透している同社で、実際に活躍している女性二人が実践する早く帰り、休日を楽しむノウハウを聞きました。

 「よなよなエール」などの個性的なクラフトビールで知られるヤッホーブルーイングでは、昨年「定時退社協会」を立ち上げました。日本初の「定時退社訓練」には一般企業9社から24人が参加し、「メールをミスなくタイピングせよ」「部下の書類をもれなく承認せよ」「ホワイトボードをくまなく消し切れ」「できるだけ多くの資料を作成せよ」といったミッションを遂行して、話題となりました。

 今回は「社内で早く帰るのは当たり前」という同社で働く、松本晶子さん、伊藤歩美さんにお話を聞きました。現在、松本さんはプロモーションユニットで「よなよなエール」のデジタルプロモーションやSNS戦略を担当し、伊藤さんは、流通営業ユニットで「よなよなエール」の販売拡大の提案、新商品発売時には商品開発や販売促進の設計などを手掛けています。二人の取材から見えた「定時退社&しっかり休む」ための5つの極意をお伝えします。

右/長野県佐久市の事務所に勤務している松本晶子さん、左/東京都渋谷区の事務所に勤務している伊藤歩美さん
右/長野県佐久市の事務所に勤務している松本晶子さん、左/東京都渋谷区の事務所に勤務している伊藤歩美さん

1.「今日の仕事は終わった、帰るぞ!」が後ろめたさを消す

TO DOをやり切れば、早帰りに後ろめたさなし

 現在、長野県佐久市にあるヤッホーブルーイングの佐久事務所に勤務している松本晶子さん。定時は8時30分~17時30分ですが、「まるで自らが時報のように、17時30分になったら席を立つ」といいます。

 「現在、よなよなエールのプロモーションチームには新卒二人、中堅社員二人がいます。私は自分が手を動かすよりも、チームをマネジメントすることが多い立場です。TO DOは自分だけでなく、チームメンバーの分もあるので、まずは『締め切りがあるもの』『その日にやるべきこと』を優先させます。タスクは手書きのノートで管理し、書いては消し、書いては消しを繰り返し、振り返ります。そして、使い切ったノートは捨ててしまいます。

 TO DOは1日の中で何度も洗い出し、やり残しがないようにシミュレーションします。とはいえ、チームをマネジメントしているとTO DOは自分の意志に反したところからやって来るので、『今日中に終わらせるべきか』を見極めたり、どうしても終わらない仕事は、いつごろできるかのめどを立てたりもしています。

「締め切りがあるもの」「その日にやるべきこと」を優先させて、TO DOは1日の中で何度も書き直して更新します
「締め切りがあるもの」「その日にやるべきこと」を優先させて、TO DOは1日の中で何度も書き直して更新します
<次のページからの内容>
◆定時で帰るために何より大事なのは「○○」と言い聞かせること
◆チームの効率化を上げるために必要な雑談とこまめな打ち合わせ
◆自分のペースで進められない営業 取引先との調整のコツ
煩雑な仕事ほど、アナログ手帳やノートを駆使する
口出ししない、手を出さない 自分と他者の仕事は線引き
◆仕事に行き詰まったら、とにかく「単純化する」
◆完璧を求めて残業しがちな人は「オフの予定の先約」をつくる