ロート製薬は2018年6月、健康経営宣言の制定と2020年に向けた健康目標を設定した。社員の幸せを願い、「健康経営」を推進する素地は明治32年の創業当時からあったと、同社取締役プロダクトマーケティング部長の力石正子氏は言う。2000年代に入ってからも社員の健康のための様々な対策を会社として行い、とりわけ全社員の6割を占める女性社員が健康的にワークライフバランスを取りながら活躍できる取り組みを実行してきた。社員を幸せにするロート製薬の健康経営の歴史、現状、これからについて、力石氏に聞いた。

14年に最高健康責任者(CHO)を設置、社員の意識改革を促す

――今年、ロート製薬は健康経営宣言の制定と2020年に向けた健康目標の設定をしました。健康経営を行う背景を教えてください。

力石:当社では、「さあ、健康経営をしましょう」と始めたわけではありません。私が入社した頃から既に社員の健康を推進する素地はありました。製造部は朝8時20分に始業し、5時15分が終業時間。早く帰って家のこともできます。働いている人たちが働きがいを持ち、かつライフバランスも取るということを早くから考え、実践してきました。

 例えば、スポーツが会社のイベントに組み込まれているのも特徴です。私が入社した1982年当時から、毎朝ラジオ体操をするのが当たり前でした。職場対抗の球技大会や運動会があり、試合が近づくと朝7時から練習をしました。今でも、全社で毎朝ラジオ体操をやっています。第1体操、第2体操、第3体操、ロート体操、オリジナル体操などいくつかあり、最近では週ごとに変えたりもしています。ラジオ体操は、自分の健康状態や体力をチェックできるし、メンバーの調子をお互いに知ることもできます。自分の体と会話するよい時間です。とにかく朝から元気な会社です。

 02年から始めた体力測定は、現在も年に1度実施しています。体力測定は今の体力を知るだけではなく、前年に比べてどう変化しているか気づくことが大事です。気づけば行動に移せるからです。

1982大阪大学卒業。同年ロート製薬入社。2010年 研究開発本部製品開発部長。2015年マーケティング本部商品企画部長。17年 プロダクトマーケティング部長。18年6月 取締役就任。

――14年に日本の企業では珍しく、CHO(チーフヘルスオフィサー=最高健康責任者)を置いて、改めて健康経営に舵を切り直されましたね。

力石:医療が進んで100歳まで生きられる時代になると、健康人口を増やすことが何よりも大切になります。定年も伸びていく時代ですし、定年延長して働く時には、健康であればこそ頭も体も動き、イキイキと働くことができます。会社を卒業する人も、健康で社会に貢献してほしいという願いがあります。CHOを置くことにより、みんなで本気になって健康経営に取り組んでいくんだと、社内の意識を変えることができたと思います。

――製薬会社でありながら、薬に頼らないことをコンセプトにしていますね。

力石:病気になった時に薬や医療に頼ることは大切だと思います。ただし、頼らなくてよければそれが一番いい。まずは日々の生活習慣や食事が健康には重要だと考えていて、そこを目指したいという宣言です。