伊勢志摩国立公園でもある三重県鳥羽市は、海の恵みを生かしながら栄えてきた漁業と観光のまちである。江崎貴久さんは家業の旅館の再建に力を注ぐ中、「鳥羽ならではの魅力を伝えたい」との思いから、観光客に釣りや磯体験を楽しんでもらうエコツアーをスタート。伊勢志摩の自然、グルメ、地元の人々との交流が満喫できるさまざまな企画を実施している。自然環境や歴史文化といった地域資源の魅力を活用しながら、環境保全と地域振興を実現するエコツーリズムを行うことで、新しい観光のかたちをつくっている。
老舗旅館の再建をきっかけに鳥羽の魅力を伝える観光に着手
――「海島遊民くらぶ」が企画するエコツアーは観光客の人気が高く、2009年に環境省の「エコツーリズム大賞」も受賞しています。どんなツアーを行っているのですか。
江崎:伊勢志摩は美しい海、伊勢海老やアワビをはじめとする豊富な海の幸、4つの有人離島と多くの無人島など、自然豊かな地域です。漁師や海女さんが多く、自然の恵みを大切にしながら暮らしてきた歴史があります。「海島遊民くらぶ」では、こうしたさまざまな魅力を楽しめる体験型のエコツアーを行っています。
例えば、鳥羽湾の無人島に行ってシュノーケリングをしたり、漁師さんと釣りをしたりする「無人島たんけんツアー」、カヤックで無人島に向かう「無人島カヤックツアー」があります。最近、特に人気が高いのは、「鳥羽の台所 つまみ食いウォーキング」。これは鳥羽市内の寿司店や海産物店などを巡って、おいしいものをつまみ食いしながら、店や町の人々と交流するツアーです。海女小屋で海女さんとお話しながら魚介を食べる「海女の国スピリチュアルツアー」、森と海で生物を見学する「ほたる&海ほたる鑑賞とワインを楽しむツアー」も大好評です。