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フルラの社長「人を重視した経営」で売り上げが2倍に

2018年11月19日

グローバルでトップシェアの売り上げも達成 フルラ ジャパン倉田社長インタビュー

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 アパレル業界が不況で伸び悩むなか、フルラ ジャパンは7年連続で売り上げが2桁増と破竹の勢いで成長を続けている。そのカギを握っているのは、14年に社長に就任した倉田浩美氏の「人を重視する経営」だ。年に2回全社員とコミュニケーションを取り、そこから出た要望から契約社員を全員正社員に登用。自分の意見やアイデアが形になることで社員が「経営に参画している」という意識も高まる。しなやかなリーダーシップが社員のモチベーションを上げそれが業績に結び付くという好循環がある。

1992年米国セントラルワシントン大学卒業後、大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパーズ入社。帰国後の1998年ギャップジャパン設立時にファイナンス担当者として入社。2002年コーチ・ジャパンのファイナンス・ディレクターとして転職。04年にマーケティング担当ヴァイスプレジデント。10年マーケティング担当シニアヴァイスプレジデント。14年9月フルラ ジャパン社長に就任

スタッフの声がきっかけで全員を正社員に

――倉田さんが社長に就任する以前と比べ、フルラ ジャパンは売り上げが2倍に増えているそうですね。グローバルでの売り上げシェアも、本国をしのぎ、日本がトップだとか。成功の要因はどこにあるのでしょうか。

倉田:2015年くらいから、日本がグローバルでの売り上げシェア1位をキープし、現在では、フルラの売り上げの23%のシェアを占めています。2018年上半期も10.6%増と2桁成長を達成しており、最高売り上げ更新に向け、好調に推移しています。
 ブランドを構築する上で最も大切なのが、ブランドのアンバサダーである「ストアのスタッフ」、そして「マーケティング」「魅力的な商品の提供」という3本柱です。これらが非常によいバランスを保ち、それぞれの戦略がうまく回って強化され、相乗効果を生んでいることが現在の売り上げにつながっているのだと思います。現在の国内店舗数は92店舗、来年は100店舗を超える予定です。

――就任後、具体的にどんなことに取り組まれたのですか。

倉田:まず、マーケティングを強化する必要があると考え、就任翌年の2015年から予算額を倍に増やしました。また、従業員の仕事への充実感や満足感を向上させるための取り組みに注力し、2016年には、「ストアスタッフの正社員化」や「7日間の長期リフレッシュ休暇」、従来3歳までだった時短の期間を小学校3年生修了時(オフィスは小学校入学まで)に延長する「子育てワークタイムシフト制度」を導入しています。スタッフがよりよい状態で働けるようなプログラムも多数導入し、トレーニングを強化。それにより、みんなのモチベーションが上がって素晴らしい接客につながり、多くのお客さんに幸せになっていただく。それが、売り上げとして還元されるといった好循環を生んでいるのだと思います。

――「人を重視する経営」が、飛躍のカギになっていたのですね。社長自らが全国のストアに足を運び、全社員と話をされる機会を設けていると聞きました。スタッフの皆さんには、どういったマインドで接していらっしゃるのでしょうか。

倉田:全社員とコミュニケーションを取るため、年に2回、全国のストアを回ります。社員数は、現在465人以上(10月1日時点)で、うち93%が女性です。ストアでは、「何が一番売れているの?」「どういった商品があると、みんなはもっとうれしい?」「お客様の声を聞かせて」など、たくさんの質問を投げかけ、できるだけ多くの意見を聞くように心掛けています。会社の方向性を伝え、トレーニングやセッションなどを実施した後、夜は、カクテルディナー形式の懇親会を行います。なるべく全員と話したいので、お見合いテーブルのように5分ごとに全テーブルを回るんです。2015年からは、年に一度、イタリアから本社の社長にも参加してもらっています。スタッフが本社の社長とコミュニケーションを取ることで距離感がグッと縮まり、「自分達もフルラファミリーの一員なんだ」と実感できます。

――契約社員をすべて正社員にする「ストアスタッフの正社員化」は、非常にインパクトがありました。かなり大きな決断だったのでは?

倉田:小売り業の現場はシフト制なので、すべて正社員で回すのは、かなり難しいんですね。それでも踏み切ろうと考えたのは、社員が安心して働くことのできる環境を整えることが、フルラにとって大切だという判断からです。
 きっかけとなったのは、あるストアスタッフの声でした。ストアでみんなの意見を聞いている時に、ある契約社員のスタッフが雇用に対する不安を打ち明けてくれたんです。フルラにとって一番大切なのは「人」ですから、一人ひとりが安心して働ける環境づくりはとても重要。雇用の安定により、そうした環境を整えることで、フルラが目指す理想の接客に近づくことができると考え、本国に掛け合ったところ承認を取ることができ、実現しました。

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麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研フェロー。1984年筑波大学卒業、同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバー。2006年日経ウーマン編集長。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁などの有識者委員を歴任。筑波大学非常勤講師。著書は「女性活躍の教科書」「仕事も私生活もなぜかうまくいく女性の習慣」など。
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