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おひとり様が8割 楽しく暮らせる「終のすみ家」とは

2018年10月30日

近山恵子さん(一般社団法人コミュニティネットワーク協会副会長 那須まちづくり株式会社代表)インタビュー

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 東京から東北新幹線で1時間半弱、新白河駅から車で15分ほどの里山にある、サービス付き高齢者向け住宅「ゆいま~る那須」。雄大な自然に囲まれ、天然木を使ったぬくもりのある住宅では、入居者とスタッフが話し合い、支え合いながら、終のすみ家として楽しく暮らす場を創り出している。そんな仕組みを全国各地でプロデュースしてきた近山恵子さん。過疎地対策、地方創生の成功モデルとして全国から注目を集める「ゆいま~る那須」の立ち上げから運営を行い、住民でもある近山さんに、地方創生への思いや成功の秘訣を聞いた。

近山 恵子(ちかやま・けいこ)
1949年新潟県生まれ。北里大学衛生学部卒業。臨床検査技師として元国立東京第二病院に勤務する。母親の介護をきっかけに、1990年任意団体「生活科学研究所」(現・株式会社コミュニティネット)に入社。1999年一般社団法人コミュニティネットワーク協会(袖井孝子会長)を設立。現在、副会長に就任。これまで「友だち村」や「ゆいま~る」シリーズなど数々の高齢者住宅を現在、プロデュースしている。2018年那須まちづくり株式会社代表就任。著書に『こんにちは“ともだち家族”』(風土社)、『自分で選ぶ老後の住まい方・暮らし方』『どこで、誰と、どう暮らす?』(ともに共著:彩流社)など

つかず離れず「ちょうどよい距離感」で暮らせる住宅

――ここ「ゆいま~る那須」は、約1万m2の敷地の一隅に住宅70戸がありますが、サービス付き高齢者向け住宅でありながら、いわゆる高齢者の「施設」という感じがまったくしませんね。

近山:平屋建て中心で戸建て風の住居だからでしょう。私たちは「施設」ではなく、「ハウス」と呼んでいるんです。地元の八講杉を使った木造建築で、窓からは木々の緑や青い空が見渡せて、季節の光や風も感じられます。日常的なコミュニケーションの場所として、食堂や図書室・音楽室という共有スペースがあり、中庭があり、ひさしのついた廊下で各住居がゆるくつながっているのも特徴です。都心の集合住宅や隣の家と距離がある別荘とも違う、「ちょうどいい距離感」を保ちながら、一人暮らしの気楽さや自由と、仲間と共に暮らす楽しさを満喫できる暮らしが実現できる。だからでしょうか、ここの人たちは生き生きしていますね。

――現在の入居状況を教えてください。

近山:70戸に75人が住んでいますが、「おひとり様」が8割。男女比は2:8で、全国の高齢者住宅の男女比とほとんど変わらないでしょう。夫に先立たれてから入居する女性も多いですね。平均年齢は72歳で、65~75歳の人が中心。他のサービス付き高齢者向け住宅よりかなり若いと思います。この制度では60歳からしか入れないのですが、50代で入居待ちしている人もいます。

 ここは入居時に約1200万~2500万円(部屋の広さによる)の家賃を一括して前払いして、あとはサポート費や共益費、食費、光熱費など、合わせて月12万円程度で一生涯暮らせるようにと設定しています。12万円というのは正社員としてフルタイムで働いた女性の1カ月の年金額や専業主婦で夫が先に亡くなったときの年金額を想定して、女性が自立して生きていけるようにと考えたものです。

 この「入居時1000万円と月12万円」という資金設計も分かりやすくよかったようです。試しに「入居時2000万円で月12万円」という提案もしてみたのだけど、それにはあまり反応がありませんでしたね。

約1万m2の敷地の一隅に住宅70戸が並ぶ。地元の八講杉を使った平屋建て中心の戸建て風の外観が目を引く(写真提供:ゆいま~る那須)
中庭で寛ぐ居住者(右)と居室の様子(左)(写真提供:ゆいま~る那須)

――ここでは入居者はサービスを「受けるだけ」ではなく、入居者も仕事やイベント活動など積極的に活動しながら、自分らしい暮らしを“つくっている”と聞きます。

近山:そうです。高齢者自身の「仕事もしたい」「社会とつながりをもちたい」「地域の人たちとも仲良くしたい」といった、人として自然な思いを大切にして、「働いたり、社会活動をしたりしながら暮らす」仕組みをつくることが大切だと考えました。

 例えば食堂で食事の調理をするのも、週2回はそばを打ち、付け合わせのてんぷらを作るのも居住者ですし、白河方面、那須方面へ毎日数回行き来する送迎車を運転する居住者もいます。庭の花や緑の手入れや、食事の片付け、隣接する牧場のお手伝いなども居住者が自分から「できること」「したいこと」を行っていて、働きながらお互いに支え合って暮らしています。働き方は雇用の場合もあるし、ボランティアやハウス内通貨「ま〜る券」での価値の交換というやり方もあって、それも居住者が自分で選んでいます。

東京から来た梅田さん(左)は、元・保育士。人形を作るのが趣味で、共有スぺースにあるショップ「ま~る」でも売っている。「お孫さんへのプレゼントで買ってくれる人がいて、とてもうれしいですね」と語る。地域の人が作った洋服(右)や入居者の衣類、雑貨などもここでリサイクルとして出されている。売上金がまとまったら、福島の子どもの健康回復のための保養プロジェクト団体へ寄付している
そば打ちをする居住者の男性。植栽の手入れも居住者自身がする。(写真提供:ゆいま~る那須)

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麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研フェロー。1984年筑波大学卒業、同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバー。2006年日経ウーマン編集長。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁などの有識者委員を歴任。筑波大学非常勤講師。著書は「女性活躍の教科書」「仕事も私生活もなぜかうまくいく女性の習慣」など。
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