人生を変えたエネルギー・マネジメントとは?

――日本では、2016年4月に「女性活躍推進法」が施行され、ようやくダイバーシティのスタートラインに立ちました。そこで、あらためて伺います。ダイバーシティマネジメントを進めるために必要なことは何でしょうか?

Wanda:女性がさらに仕事で活躍するために会社が出来ることというのは、いくつかあると思っていますが、大きく分けると、「環境整備」と「意識改革」があります。

 まずは、女性が活躍できる環境を整えること。日本は、勤務時間が長い傾向にありますから、子育て中のお母さんや家族の面倒を見る方にとっては両立が大変ですよね。会社がインクルーシブな環境を支援することで、仕事と家庭生活のバランスを良い状態に持っていけるようにサポートすべきだと思っています。

 私たちは、グローバルな取り組みとして、「Energy for Performance in Life」という、自分自身のエネルギーをマネジメントするためのプログラムに力を入れているんです。私自身、息子が4歳のときにこのプログラムを受け、人生が変わりました。

――人生が変わったんですね!「エネルギーをマネジメントする」という観点は、とてもユニーク。どのような取り組みなのでしょうか。

Wanda:通常、私たちは職場にいるときにエネルギーの大半を使ってしまうため、家に帰った時には疲れ果て、一番大切な家族のケアや自分の時間がおろそかになりがちです。そこで、職場と家庭生活との良好なエネルギーバランスが保てるようにエネルギーの管理能力を身につけ、身体的回復力や集中力を高めて、自分がエネルギーを投入したいことに十分なエネルギーを投じることを可能にするためのトレーニングプログラムを開発しました。それにより、自分にとってのプライオリティを整理し、職場と家庭を両立しながら、イノベーションを起こすような取り組みや、仕事のパフォーマンス向上を実現しようとしています。

――具体的にはどのようなことを行うのですか?

Wanda:社員がベストな状態で最高のパフォーマンスが発揮できるよう、エネルギーの4つの領域(身体、感情、メンタル、精神)の重要性と影響力について学び、エネルギーを管理するスキルを身につけます。効率的な栄養摂取や、運動、睡眠の質の向上など、取り入れやすいTipsや具体的なヒントも数多く紹介され、メディテーションなども行います。こうしたトレーニングを受けることで、仕事のみならず、生活全体のクオリティを高めることができるという考えです。

 初めて導入した2012年から現在まで、累計で日本の社員2000人以上が受講しました。これらは、ヘルスケアカンパニーとしての使命、そして、“社員が安心して仕事に従事できるように働く環境を整える”と企業理念を持つJ&Jらしい取り組みといえるかも知れませんね。

来日中、日本の社員に向けた講演を行うワンダさん
来日中、日本の社員に向けた講演を行うワンダさん

 また、両立には家族の支援も欠かせません。私たちは、男性にも積極的に育児参加してもらいたいという思いから男性の育児育休取得を推奨しており、父親になった社員の22%が育児休暇を取得しています。