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菅原由美「ナースの力は、もっと地域に生かせる

2016年9月7日

これからの介護者会を支える訪問看護師の仕事とは

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2016年4月に施行された女性活躍推進法。国家の成長戦略の中枢に女性の活躍が置かれているが、それは地方でも同じこと。女性の力を生かすことが地方創生の鍵となる。この連載では、さまざまな活動で地方を元気にしている女性たちを毎回1人取り上げてロングインタビューで紹介する。
(2016年6月24日にサイト「新・公民連携最前線 」のコラム「麓幸子の『地方を変える女性に会いに行く!』」に掲載された記事を転載しています)

元看護師であり主婦であった菅原由美さんが設立した「全国訪問ボランティアナースの会キャンナス」。自分のような元ナースの力を集めて地域や社会のために役に立ちたいとの思いが起点となった日本初のこの活動が、20年を迎え、大きく花開いている。菅原さんの志に賛同した全国のナースたちが続々と立ち上がり、キャンナスの事業所は全国で100カ所を突破した。また、この3月には、長年の功績が認められ、「第12回ヘルシー・ソサエティ賞」(日本看護協会、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ共催)ボランティア部門(国内)を受賞。現在は、「訪問看護師が地域包括ケアシステムの要になる」と、開業看護師を増やす活動にも注力する。

菅原由美(すがはら・ゆみ)
1955年神奈川県生まれ。76年東海大学医療技術短大看護学科卒業。14年国際医療福祉大学大学院博士課程満期修了。東海大学病院ICUに1年勤務後、その後、企業や保健所等勤務の傍ら3人の子どもを育てる。96年キャンナス設立。98年有限会社ナースケアー設立。05年「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」、09年「ナースオブザイヤー賞」、「インディペンデント賞」。11年東日本大震災、14年広島土砂災害において災害ボランティアナースを派遣し、支援活動にあたる。神奈川県ボランタリー活動奨励賞等多くの団体より表彰を受ける。16年「ヘルシー・ソサエティ賞」。ナースケアー取締役、開業看護師を育てる会理事長、日本在宅医療学会評議員などを務める。著書に『あなたが始める訪問看護ステーション』、『いけいけ!ボランティアナース』他。写真中央でピンクのキャンナスのTシャツを着て立っているのが菅原さん。全国からキャンナスの代表が集まった研修会場にて

全国100カ所で地域の健康をサポート、被災地の支援も

――「ヘルシー・ソサエティ賞」の「ボランティア部門」受賞、おめでとうございます。菅原さんとは、2005年に「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」(日経WOMAN主催)を授与させていただいたときにお会いしましたが、あれから10年、菅原さんの志が大きく実っていますね。あらためまして「キャンナス」とはどういうものか、また、こうした活動を始めた理由を教えていただけますか。

菅原:「出来る(Can)ことを出来る範囲で行うナース(Nurse)」という意味を込め、27人のスタッフとともに訪問ボランティアナースの会「キャンナス」を立ち上げたのが、96年になります。私自身、義母や身内を何人も在宅で介護し、看取ったことから、その大変さを痛感しました。そうした経験から、家族のレスパイト(休息)を応援したり、ターミナルケア(終末期医療、終末期看護)のお手伝いをすることで介護に疲れたご家族の負担を軽くしたいと考えたのが、キャンナス発足の原点になります。家庭に入り、看護師としてのキャリアを中断していた私のような、当時全国に100万人いるといわれた「潜在ナース」の力を地域社会に生かすことで、“在宅で安心して介護を行うことのできるまちづくり”ができるのではと思ったのです。

 有償ボランティアとして、「自分の空いている時間内にできる範囲で活動する」というのが私たちのモットー。キャンナスのメンバーも、仕事と両立している方がほとんどで、約7割が介護事業の経営者、どこかに勤めている看護師が3割ほどいます。ご家族が日常的に行うことを代わりにお手伝いするというスタンスで日々活動しています。

この3月、長年の功績が認められ、「ヘルシー・ソサエティ賞」(ボランティア部門)を受賞(写真提供:キャンナス)

――菅原さんご自身も、訪問看護ステーションを経営されていますね。

菅原:家庭に入り、看護師をお休みしていた私ですが、96年にボランティア活動から再開して、介護保険制度がスタートした2000年に訪問看護ステーションを始めました。現在は、神奈川県藤沢市、鎌倉市などで訪問看護ステーションのほか、ヘルパーステーション、デイサービス、居宅介護支援事業所などなどを経営しています。私自身、看護師であり、ケアマネジャーであり経営者であるという立場になりますね。

――キャンナス設立から20年。今年で事業所が100カ所を突破されたと伺いました。

菅原:実は、事業所が50カ所になったのは、わずか4年前なんです。昨年1年間で17カ所が開設、今年はすでに30件以上の問い合わせが来ています。ここ数年で急速に参加者が増えてきた背景として、“今こそ社会に助け合いを呼び戻さないといけない”という相互扶助の意識を持つ看護師が増えてきたのではないかとうれしく思っています。

――災害支援活動も積極的に行っていますね。今回、熊本地震でも多くのキャンナスのメンバーが、現地へ駆けつけ、支援活動に力を注いでいます。

菅原:東日本大震災では、看護師をはじめ、のべ約1.5万人以上の医療従事者を派遣しました。震災から5年経った今でも、仮設住宅での健康相談などボランティア活動を行っています。今回の熊本地震でも多くの看護師が益城町などを訪れ、現在も支援活動を続けています。

 普段、キャンナスでは、「できることをできる範囲で」がモットーですが、東日本大震災の時には、「できることを精一杯やること。看護師として恥じない行動を」というメッセージを伝えました。そうした思いが伝わったのか、皆さん無償で本当によく頑張ってくれました。被災地での経験を生かしたいと、災害看護学を新たに学んだナースたちもたくさんいたし、気仙沼では、キャンナスの姿に刺激を受け、ナースになったという子もいました。マニュアル化されているといわれている病院ナースたちも、被災地に赴くと、自らができることをどんどん探しだし、個として主体的に動くことができるんですね。そうした看護師たちがいるだけで、避難所の人たちに安心感を与えることができる。あらためて「看護師の力」を再確認しました。

4月18日には熊本入りし、現地で支援開始した。(写真提供:キャンナス)
東日本大震災ではのべ1万5000人以上の医療従事者を派遣。石巻市での介助やトイレの衛生管理の模様(写真提供:キャンナス)

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麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研フェロー。1984年筑波大学卒業、同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバー。2006年日経ウーマン編集長。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁などの有識者委員を歴任。筑波大学非常勤講師。著書は「女性活躍の教科書」「仕事も私生活もなぜかうまくいく女性の習慣」など。
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