失敗すると他人のせいにするか自分の運命を呪うか

 失敗やピンチが生じると、「これは上司(または部下)のせい」「環境が悪かっただけ」と誰かに責任を負わせがちです。そのつらさから一刻も早く逃げ出したくて目をそらしがちです。私も多分にそういうところあります。時には、「ああ、私ってなんてかわいそうなんだろう」と「悲劇のヒロイン」ぶったりします。または、前回も書きましたが、「だから自分はダメ、何をやってもうまくいかない。全部自分が悪いのよ……」と無限の自虐ループに陥ります。どちらも失敗から目をそらして逃げていることに変わりないですね。

 女性と男性とでは、失敗に対する振る舞い方が違うなと思った経験があります。ある会社の女性管理職たちと打ち合わせをしていたときのことです。

「予算を達成できないと落ち込みますよね、嫌になりますよね」
「そうですよね。夜も眠れなくなるくらい悩みますよね」

 何かの拍子で「予算達成」の話になりました。決算期が近づいていた時期だったのかもしれません。そのとき、同席した男性が次にこのようなことを言ったのです。

 「え? 予算を達成できない? そんなことで悩むんですか? 私なんて入社以来一度たりとも予算を達成したことありませんよ」

 しかも、「So What? (それが何か?)」という口ぶりでした。

 「え、そうなんですか?」とその女性管理職は聞き返します。私も心の中で「マジ?」と思いました。女性二人で目を見合わせました。

 その男性は決して仕事ができない人ではありません。いや、ある会社の本部長級のポストにいますから、仕事ができるということは証明されています。だから、予算を達成したことは一度もないという話が本当だとしても、前年比は高いレベルで達成し続けたに違いありません。しかし、予算を達成しなくても悩まないんですね。それは、予算未達に対して何もしないという意味ではなく、未達の原因は分析するけれど、「さあ、分かった。じゃあ、次にいこう、次年度はガンバロウ」という切り替えが早いということです。

 それに対して、女性陣のほうは、「なぜ、私はできないの?」「なぜ、自分はダメなの!」と自分を責め続ける。「自責の念」にかられて、自分の運命を呪うレベルまでいってしまいそうな雰囲気なのです。