一方で、こんなことも感じました。「売上や原価などお金のことを考えるのは苦手だと思っていたけどそうでもないな」「営業は経験がなかったけれど案外好きかもしれない」。つまり、思ってもみなかった想定外の自分、新しい自分の可能性を知ることができたのです。
私の場合、不本意だと思った部署でのビジネス経験がその後役に立ち、いろいろな場面で自分を助けてくれました。大きな財産となりました。ですから、想定外の自分、新しい自分の可能性に出合える人事異動はどんどん受けてほしいと思うのです。
新たな仕事や人に出合えるよう自分で仕掛けよう!
思えば、私たち女性は、「私なんてダメ」「自分はこの程度の力しかない」「この仕事しかできない」というように、自分の可能性に蓋をして、やり過ごしてしまう傾向があるのではないでしょうか。
また、自分の力を正確に見積もることが苦手で低く評価してしまうことが多いのではと思います(この心理的なワナについては別の回で紹介しますね)。このようなことをしていては、千載一遇のこの時代に、チャンスを逃すことにもなりかねません。
自分がどんなことに向いているか、どんな力があるか(または育つか)は、いろんなことを経験しないと分かりません。ですから、臆せずにいろいろな経験をしていただきたいのです。新しい仕事に挑戦できる人事異動はあなたにとって大きなチャンスです。
もし人事異動のチャンスがないなら、新たな仕事や人に出合えるように自分で仕掛けましょう。興味のあるポストで社内公募があったらエントリーしてみましょう。もうすぐ上期の人事面談という人も多いと思いますが、そのときに、「こういう仕事もしてみたい、挑戦させてほしい」と上司に意思を表明しましょう。異動希望を伝える機会があるならそれも活用しましょう。また、異動ではありませんが、社内横断プロジェクトとかタスクフォースとか社内で広く人を募るケースもあります。そういう機会も利用して手を挙げてみましょう。
「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」の受賞者など成功した数多くの女性を取材してきましたが、そのキャリアの転機、成功の起点が、「勇気を出して一歩踏み出した行為」だったというケースが多いのです。
5月に出した私の新刊『仕事も私生活もなぜかうまくいく女性の習慣』でも、自ら行動することで成功した女性のケースを多く紹介しています。これも参考にして、あなたの周りにあるチャンスをしっかり生かしてほしいと思います。
文/麓幸子 写真/PIXTA