1番大切なモノのそばにいないのはどうして?
本作でロビンは、1番大切なモノは何かと尋ねられます。ロビンは即答するのですが、次に「1番大切なモノのそばにいないのは、どうして?」と言われ、黙ることしかできなくなります。
プーとその仲間たちの生活と、ロビンの置かれている立場などを比較することは難しいですが、それでも自分が1番大切だと思っているモノのそばにいない(いられない)理由、原因を考えるのには十二分の言葉です。
私は本作を見ている中で「となりのトトロ」を思い出しました。同作でメイちゃんは、入院中のお母さんのために、たった一人でトウモロコシを届けようとして迷子になってしまいます。1番大切なお母さんのために自分ができる最大限のことをしようとし、結果として失敗しますが。
私が子どもの時は、メイちゃんの行動に「バカだなぁ」とイライラしましたが、大人になった今、その行動力に頭が下がりますし、泣かされてしまいます。
仕事とはつらいものなのだ。私生活を犠牲にすることも仕方がない。周りのみんなもそうしているはず。そうやって諦めることが美徳のように、自分を無理やり納得させているところはありませんか。
何もかも100%解決する方法はすぐには見つからないとしても、20%でも改善できる方法があるとしたら?
今見えている、見ているところから、ほんの少し視線を変える。見方をちょっと変えるだけでいい。仕事をし過ぎることを悪く言うのではなく、仕事を含めて1番大切なモノをもう一度考えてみようと思わせてくれる、そんな幸せな着地を見せてくれる作品です。
ぜひ時間をつくって鑑賞してみてください。それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。
『プーと大人になった僕』
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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文/永井勇成