人と自分は違っていても、いいんです
自分ではちゃんとできている、完璧にできてはいなくても頑張ってやっていることを、他人から口出しされると嫌な気分になりますよね。どれだけ自分が精いっぱいに取り組んでも、他人から見たら「要領が悪い」だの「もっと他にやりようがある」だの、何かと言われるかもしれません。
しかし、それはあくまでも第三者の価値観による判断であり、当事者の内面、生い立ちを含む、これまでの人生などは加味されていません。犬山紙子さんの著書「言ってはいけないクソバイス」にもありますが、相手のことを考えているようで、実はただ自分の意見を言いたいだけの、持論を押し付ける「クソ」みたいな「アドバイス」＝「クソバイス」ともいえます。
「自分がどうしたいか」「自分がどうなりたいか」は、結局のところは他人が決めることではなく、自分自身が決めること、決めなくてはいけないことです。そこで自分が決断したことを不正解だったかも、と思ってしまうと、生きることがものすごくつらくなる。
世間の考えと自分の気持ちには違いやズレがあるものだ、と理解する。そして、「違っていてもいい」「ズレていてもいい」と、それを理解し、受け止めることができれば、無敵になれるはずです。
子どもたちにも夫にも、もっともっと優しくしたいのに。家事も育児も完璧にこなしたいのに。そんなマーロの悲痛な叫びがひしひしと伝わってきて、胸が苦しくなるシーンもあります。映画のポスターはポップだけれど、付き合いたてのデートで見るにはちょっとハードル高めの作品かもしれません。けれど、結婚を意識しているお相手がいる方は、一緒に見るのはおすすめです。ぜひこの機会に、家事や育児について語り合ってみてください。
そして本作のタイトル「タリーと私の秘密の時間」は本当によくできています。この謎に気が付かずにいた私は最後にうならされました。何が秘密なのかはぜひ劇場で確認してください。
それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。
『タリーと私の秘密の時間』
配給：キノフィルムズ/木下グループ
(C) 2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
文／永井勇成
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