羨ましいと思いたくないから防衛本能が働いてしまう
冒頭の例でいえば、本当はただ羨ましいだけで、自分だって新しいバッグは欲しいし、運動してキレイになりたいと思っている。でも、自慢のような投稿を見ると自分は今のままでも幸せだし、全然羨ましくない、とつい防衛本能が働いて見下してしまうのです。
そもそも何も羨ましくなく、その人が手に入れたものや、実現したことに興味がなければ反応しようがないはず。
実は、自分の考えと違うからではなく、単に羨ましくて、でも自分はそれをかなえられていなくて、ならば否定することで心の安寧を保とうとしているだけなのではと本作は訴えてきます。
SNSで頑張ってるアピールをする人に対して、本当に頑張ってる人は陰で努力するもんだよと、努力していない自分が言うのは格好悪くないですかと。
人それぞれ、やりたいようにやって自分のゴールに向かっているのだから、いちいち誰かの発言に嫉妬して見下している場合じゃないと。
認めたくはありませんでしたが、拓人の行動を見ていると、他人を見下すことは自分への裏切りであり、逃げでしかないと気付かされました。
自分の嫌な部分を丸裸にされる恐怖がありますが、ぜひおすすめしたい1本です。
それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。
発売元・販売元:東宝
発売中
価格:6000円(税抜)
(C) 2016映画「何者」製作委員会
文/永井勇成