野獣よりも何よりも恐ろしいのは人間の狂気
さて、本作は美しいベルと野獣のラブとロマンスにうっとりすることがメインですが、野獣よりも人間の狂気のほうが恐ろしいことを忘れてはいけません。
ベルに恋するあまり、野獣もびっくりの狂気を見せつけてくれる男、ガストンの存在です。
イケメンでマッチョなガストンは、自分が野獣に負けるなんて1ミリも思っていないし、美女と野獣の恋を認めるわけにはいかないのです。
しかし、ここで1番大事なことはベルの気持ちがどこを向いているのかです。自分がどれだけ優れていても、ベルが野獣のどこを見ているのかを冷静に分析しなくてはなりません。
自分は野獣に勝るアピールポイントを持っているのか、そして、そのアピールポイントはベルに対して有効なのかどうかを。アピールポイントがあるからといって、勝負に勝てるわけではないことも理解していなくてはなりません。
でも、人間の狂気は恐ろしく、そんなことは全部すっとばして、野獣だから悪、俺は人間だから善と決め付けて疑いません。自分より下と判断したものが結果を出すこと自体が許せなくなるのです。
野獣にされたことで、より人間らしく、自他共に気持ちを理解しようとすることに対し、人間は野獣に対してはこれほどまでに狂ってしまうのかと怖くなります。
タイトルの野獣とはガストンのことかもしれないと、美しい映像と音楽に魅了されつつも考えてしまいますよ。
さて、最後にこれだけ言わせてください。
ベルを演じているのは「エマ・ワトソン」です。ハリー・ポッターシリーズでハーマイオニー役の彼女です。タイトルに「美女」と入っているので、誰もが認める美女でないと問題ありなのですが、完璧に美女でございました。
冒頭からラストまで、何も文句ありません。その姿、美女で間違いございませんでした。ファンの方はもっと好きに、ファンでなかった方はファンになることでしょう。物語とともに、その美しさをご堪能ください。
それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。
4月21日(金)全国公開
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文/永井勇成