もしも大切な人の過去が偽りだったと知ってしまったら。あなたは一体何でその人を判断しますか?

こんな眼鏡が似合う男になりたい (C) 2018「嘘を愛する女」製作委員会
こんな眼鏡が似合う男になりたい (C) 2018「嘘を愛する女」製作委員会

 映画カタリストのゆうせいです。

 あなたには、家族や親友、恋人など、大切な人、尊敬している人がいると思います。しかし、その人の本当の過去をあなたはどれだけ知っているのでしょうか?

 例えば出身地、学歴や職歴など、本人に聞けば簡単に知ることができます。しかし、それが真実かどうかは分からないですよね。

 自分の目で確かめたわけではなく、聞いた話を信じているだけ。それが嘘かどうかを調べるには多くの労力を使うし、よほど疑わしい場合を除き、調べようとは思わないはずです。

 本日紹介する映画「嘘を愛する女」は、5年も付き合っている恋人の過去が、名前から職業、何もかもが嘘だったという衝撃の内容です。果たしてあなたが同じ状況になった場合、すべての真実を知りたいと思うでしょうか? それとも、過去なんて関係ないわ、とこれまで通りに付き合うことができるでしょうか?

【ストーリー】
食品メーカーに勤め、業界の第一線を走るキャリアウーマン・川原由加利(長澤まさみ)は、研究医で面倒見のいい恋人・小出桔平(高橋一生)と同棲5年目を迎えていた。ある日、自宅で桔平を待っていると突然警察官が訪ねてくる。くも膜下出血で倒れ意識を失ったところを発見された桔平。なんと、彼の所持していた運転免許証、医師免許証は、すべて偽造されたもので、職業はおろか名前すらも「嘘」という事実が判明したのだった。なぜ桔平はすべてを偽り、由加利を騙さなければならなかったのか? そして、彼女はいまだ病院で眠り続ける「名もなき男」の正体に、たどり着くことができるのか―。

誰にでも隠しておきたい過去はある

高橋さんはどこを見ているんでしょうか (C) 2018「嘘を愛する女」製作委員会
高橋さんはどこを見ているんでしょうか (C) 2018「嘘を愛する女」製作委員会

 誰にだって隠しておきたい過去や、秘密にしておきたいことはありますよね。隠しておくことで物事がうまく進む、秘密にしておくことで関係が良好になる。それらを掘り返されるのは絶対に避けたいこと。しかし、相手のことを大切に思えば思うほど、その人の過去が知りたくなってしまうのが人間のさがです。

 本作にて長澤まさみ演じる由加利は、とにかく仕事優先のキャリアウーマン。恋人である桔平(高橋一生)の過去や人となりに、あまり興味がありませんでした。しかし桔平の嘘が発覚したのをきっかけに、堰(せき)を切ったように過去を調べ始めます。

 相手が隠しておきたいと思っていることなのだから、それを掘り返してもよい方向に進む可能性は低いことはうすうす分かっている。それが分かっていながらも、「知りたい」という欲求が止まらない。真実を知ってしまうのは怖いのに、追い求めてしまうのです。

 もちろんすべてを知ってからこれからどうするかを判断したい、という気持ちも分かりますし、嘘をつかれていたのであれば、真実を知る権利もあるはず。

 でもよく考えてみてください。あなたにとって大切なのは、その人の「過去」でしょうか。それとも、その人と「過ごした時間」でしょうか?