今は風当たりが強いセーラームーン世代
読者であるセーラームーン世代のなかには、「社会に変化なんて言われても、ピンと来ない」「自分が今の仕事で活躍しているとは、とても言えない」と、ため息をつかれる方もいるでしょう。
しかし、あの英雄ジャンヌ・ダルクですら、生前の評価は賛否真っ二つだったようです。その後、国家的政治判断のもと19歳で火刑に処されてしまいますが、25年後にローマ教皇のお墨付きで名誉が回復されました。現在ではカトリック教会における聖人として、フランス国内の多くの政治家や文化人たちがジャンヌを崇拝しています。
このように、先進的な存在を世の中が認めるのには、少々時間がかかるものです。
少女時代から先進的な考え方に慣らされた結果、リベラルで奔放に育ったセーラームーン世代は、ジャンヌのように世間から強い風当たりを受けることも多いでしょう。でも、安心してください。ジャンヌと違って歴史に名を残すのに、25年もの歳月は必要ありません。
さしあたっては4年後、世界が日本に注目する東京オリンピック開催の2020年です。30代半ばに達し、今よりずっと社会の中核で活躍しているであろうセーラームーン世代は、自分たちが生きる日本社会の素晴らしさを、あらゆる場所から世界中に知らしめてくれるでしょう。つくづく、リオ・オリンピックの閉会式にうさぎちゃんが登場しなかったのが、残念でなりませんね。
文/稲田豊史 画像/(c) Naoko Takeuchi
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