セーラームーン=ジャンヌダルク!?

 それは、15世紀、イングランドとの間で繰り広げられた百年戦争でフランスの劣勢を救った伝説の軍人、ジャンヌ・ダルクです。彼女が戦況をひっくり返したオルレアン包囲戦(1428~29年)時点では、なんとまだ16歳でした。セーラー戦士たちと同じティーン・エイジャーです。

 ジャンヌ・ダルクが優れていたのは、一説によれば、長らく男だけの軍隊で慣例的に行われていた戦法に素朴な疑問を呈し、型破りの戦法を提示したことだと言われています。

 たとえば、騎士道精神にこだわるフランス軍隊は、敵兵に対して遠くから大砲で攻撃するのは「卑怯」であるとして大砲を使わず、いちいち名乗りを上げてから突撃していました。対するイングランド軍は、長距離射程のロングボウ(長弓)でフランス兵をガンガン撃ち殺していたのです。

 無邪気な少女ジャンヌは、フランスの将軍たちが後生大事にしている騎士道精神などお構いなしに、遠慮なく大砲を撃ちまくってイングランド軍を蹴散らしました。既存の慣習や役職や序列にとらわれることなく、自由な発想で結果を出す。どこか、セーラームーン世代を彷彿とさせますね。

 歴史上、ジャンヌ・ダルクのように国政の表舞台で英雄的に社会を変革した女性は、男性に比べればずっと少なかったといわざるを得ません。しかし昨今では、政治的実権を持つ女性リーダーが、世界中で誕生しています。イギリスのテリーザ・メイ首相、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領、台湾の蔡英文(さい・えいぶん)総統、アメリカの民主党大統領候補ヒラリー・クリントン、そして東京都知事・小池百合子氏など。

 20年以上前に、セーラーチームの活躍を見て育ち、社会にさまざまな変化を起こしつつあるセーラームーン世代が存在感を増す現在、世界中に女性リーダーが次々と誕生しているのは、単なる偶然なのでしょうか? あるいは、来るべき同時多発的社会変革の予兆なのでしょうか?