セーラームーン世代に与えた影響とは

 愛のかたちにひたすら寛容な姿勢を示す『セーラームーン』を少女時代に観て育ったセーラームーン世代が、セクシャリティ方面に進歩的な考え方を示すのは、当然でしょう。現在の彼女たちは、「多様な愛のかたち」に対してとても寛容な精神を持っています。

 今でこそましになりましたが、90年代当時のマスメディアは、セクシャル・マイノリティに対して血の気が引くほどノー・デリカシーでした。端的に言えば、「異常な人たち」「滑稽な人たち」扱いで、笑いものにしていたのです。

 そういう時代背景のなか、ゴールデンタイムに敵幹部同士の同性愛をまじめに描くということに、どれほど強い「意思」が必要だったかは、想像に難くありません。デリケートなセクシャリティの持ち主をキャラクターとして創造し、作品世界で極めて公平に扱った原作者の武内直子先生、およびアニメスタッフの面々には、本当に頭が下がります。

 そんな『セーラームーン』は、90年代に子供時代をすごしたフランスの女性にも、非常に人気があります。