女らしさは武器ではなく誇るべき属性

 しかし、セーラームーン世代は職場でも「女子っぽさ」を大切にします。

 それは、セーラー戦士たちが、世界の存亡を賭けた戦いの渦中にあっても、恋バナや、お菓子や、オシャレや、女子トークといった「女子っぽさ」を決しておざなりにしなかったのと同じ。そもそも、変身後のバトルスーツは、「女子っぽさ」の象徴・セーラー服風のセクシー仕立てです。

 彼女たちは、茶目っ気たっぷりの振る舞いで現場を明るくし、細やかな気配りで男性社員や取引先の警戒心を解きます。服装やメイク、髪やネイルによって女子である自分を謳歌し、デスク周りや文房具も遊び心で埋め尽くします。

 なぜなら、彼女たちは「女子っぽさ」を出すか・出さないかと、仕事のできる・できないはまったく無関係だと信じているから。仕事で結果を出すことで、それを周囲にも理解してもらいたいと願っているからです。

 セーラームーン世代にとって、「女子っぽさ」は“媚びるための武器”ではありません。“誇るべき属性”なのです。

 ただ、「気負いなく自己主張する」「女子っぽさを捨てない」が一部年長者たちの癇に障り、「これだからゆとり世代は……」と揶揄されることも少なくありません。実際、セーラームーン世代の下半分(1987~93年生まれ)は、ゆとり世代とかぶっています。

 しかし、それは彼女たちを煙たく思う年長世代の価値観が、彼女たちと大きく乖離しているからにすぎません。年長世代の価値観とは、「若い女性が男の職場で軽々しく自己主張すべきでない」「職場に女性性を持ち込むべきではない」という考え方です。

 しかし逆に言えば、セーラームーン世代がもう少し年次を経て会社の中枢を担うようになれば、彼女たちの価値観こそが職場の常識となり、バカにしていた彼らこそ“老害”化することを、忘れてはなりません。どちらが正しいということではなく、必然的な時代の潮流というやつです。