7月30日(土)、大阪・西梅田のハービスHALL(大阪市北区)において、働く女性を対象とした国内最大級のイベント「WOMAN EXPO OSAKA 2016」が開催されました。大ホールでのセッションでは、循環器、老年医学、抗加齢医学が専門で、愛媛大学医学部付属病院抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也さんが登壇。アンチエイジング研究の現場から、「女性は『みため』とともに老いる! ~AGEsと老化の切っても切れない関係~」と題して、アンチエイジングのポイントを講演しました。

人の「みため」と血管年齢の関係は?

 現在、抗加齢・予防医療センターで行っている抗加齢ドック(動脈硬化に特化した人間ドック)の受診者約3000名のデータなどをもとに、研究をされているという伊賀瀬さん。講演は、まず人の「みため」の違いについてのお話から始まりました。

長年、アンチエイジング研究に取り組まれている伊賀瀬さん。今年7月には『血管力革命』という著書を上梓
長年、アンチエイジング研究に取り組まれている伊賀瀬さん。今年7月には『血管力革命』という著書を上梓

 人間にとって「みため」は大事な要素。特に、ある程度の年齢になると、みための若さを重要視するようになってくるものです。

 みため年齢と、体の若さとは、どのような関係にあるのでしょう。伊賀瀬さんが注目しているのが、血管の状態です。動脈硬化という血管の老化には、「血管の硬さ・弾力性」と「血管の中のプラーク(ゴミ)」の二つの側面があります。

 血管のプラークのたまり具合が多い人ほど、心筋梗塞や脳梗塞になりやすいそうです。また、血管が柔らかい人よりも硬い人のほうが、5年後10年後の死亡率が増えるそう。

 現在は、「頸動脈エコー」という検査で頸の血管の状態を簡単に観察することができ、血管の壁の部分(内中膜複合体)の厚みを測ってプラークのたまり具合を調べていきます。ちなみに、この壁は、年齢とともに厚くなり、年齢の標準値を超えると、動脈硬化が強いということになります。

 頸の血管が動脈硬化になると、うつ症状や認知機能など、いろいろなところに影響が及び、特に閉経後の女性は、動脈硬化が進むと、骨密度が低下して骨粗鬆症になるということでした。

みためが老けている人は、握力も低いということを、スライドを使って説明。皆、お弁当を食べながらも、熱心に聞き入っています
みためが老けている人は、握力も低いということを、スライドを使って説明。皆、お弁当を食べながらも、熱心に聞き入っています

 この血管のプラークのたまり具合とみための関係について、「ロボスキンアナライザー」という装置で受診者273名の顔写真を撮り、そのみため年齢の評価データをグラフにしていくと、若く見える人と老けて見える人とでは、若く見える人のほうが5~8歳も血管年齢が若い、という結果が出てきました。

 こうしたデータ解析から、若く見えることを規定する要因として、「血管年齢が若い」「自分が健康であると思える」ということなどが挙げられています。